ラ・リーガ第4節 セルタ・デ・ビーゴ 0-2 グラナダ
ラ・リーガ・サンタンデール2019−2020シーズン第4節。
セルタ・デ・ビーゴ対グラナダの一戦がエスタディオ・アバンカ・バライードスで行われ、セルタは0−2でグラナダに敗れました。
試合結果よりも話題になっているのが11分と25分に起きた2つの退場劇です。
11分にホルヘ・サエンス、25分にフラン・ベルトランがそれぞれVARによる判定で退場を宣告されており、特にベルトランの退場は主審のプリエト・イグレシアスが既にイエローカードを提示した後にVARによる追加判定が行われて結果的に退場となっています。
いずれのケースでもサエンスの足はたしかにソルダードのアキレス腱にかかっており、ベルトランのイーブンボールへのチャレンジも安全とは言えないプレーではありました。
ただし、前日に行われていたバルセローナ対バレンシアの一戦でも似たようなプレーがあったにもかかわらずそのプレーに関しては何ら問題とはされておらず、試合後のインタビューでセルタのFWサンティ・ミナが
昨日のバルサ対バレンシアでも同じような場面とファールがあったのに結果は違っている。VARの運用ルールにはもっと明確な基準を設けるべきだと個人的には思う。
とコメントしている通り、VARの運用とピッチ上の判定に対する明確な基準がわからない状態にあるのは確かだと思います。
バライードスで行われた開幕戦のレアル・マドリー戦においてもサエンスの退場と似たようなレッドカードがクロアチア代表MFルカ・モドリッチに提示されているのでサエンスの退場そのものは致し方ないという気はします。
ただし、そうであるならばバルサ対バレンシア戦で起きた一連のプレーに関しても同様の判定は行われて然るべきではなかったのかというのがミナの意見で、このミナのコメントには僕もうなずけるものがあります。
ベルトランのプレーに関してはスライディングの際にベルトランが見せたプレーは確かに危険なものではありましたし、明確に足が上がっていたという事実はあります。
だからこそのイエローカードだったと僕は理解していますしここまでは納得もできるのですが、果たしてレッドカードに相当するほどの危険性があったかどうかは疑問です。
スロー再生で見てみれば相手に対する明確な攻撃の意図は感じられず、上がった足を何とか下げようという意図は少なからず感じられるものではありました。
既に主審の目視判定によってイエローカードが提示されたプレーに対して、追加でVARが判定を下すというシーンは2018年のロシア・ワールドカップ以降散見されるわけですが、このようなケースでVARの追加判定が必要な基準が明確に定まっているとは言えません。
結局のところサッカーの判定には主観や立場の違いが出てくるという以前から続く課題はVARでも解決はされておらず、「主審に見えないところで行われる悪質なプレー」を洗い出すという目的を果たし始めつつはありながらも、一方で別の議論を引き起こす結果にもなっているのではないかと僕は考えています。
もしかしたら判定に関する議論はどんな技術や手法を使っても完全に解決することが難しいのかもしれません。
判定に対する異議申し立ては行わない予定
セルタのフラン・エスクリバ監督は試合後の記者会見で
もし自分が観客だとしたら、11人対9人の試合をチケット代を払って見に行こうとは思わないだろう。
と判定に対する不満を述べてはいますが、セルタとしてはラ・リーガ規律委員会に対する異議申し立ては行わい方針のようです。
サエンスとベルトランの出場停止試合数に関する最終決定は現地時間9月18日の水曜日にくだされる予定になっており、そこでくだされる決定内容次第で異議申し立てを行うのかどうかを判断するのではないか、とビーゴの地元紙FARO DE VIGOは予想しています。
僕がセルタを追いかけてきた過去22年間、何度か規律委員会に対する異議申し立てを行った場面はありましたが、基本的に決定が覆ったり軽減されたケースは皆無と言ってよく、仮に異議申し立てを行っても処分の取り消しは行われない可能性のほうが高いと僕は考えています。
次節はアトレティコ・マドリーとのアウェー戦を戦うことになるセルタですが、幸いなことにセンターバックにはメキシコ代表DFネストル・アラウホ。そしてセントラルMFにはトルコ代表MFオカイ・ヨクスルが復帰を果たし、仮にオカイがスタメンでのプレーに耐えうるコンディションではなくともパペ・シェイクもいるため、大きな戦力ダウンとはならないでしょう。
そう考えれば今シーズンに向けたセルタの補強はやはり成功だったと言えると僕は思います。
もともと選手層が厚いとは言えない状態だった昨シーズンまでのセルタであれば、スタメン出場するレベルの選手が2人出場停止になってしまえば「終了のゴング」とも言える状態でした。
イアゴ・アスパスが長期離脱している間に転げ落ちるように降格圏に沈んだことからもそれは明らかです。
しかし今シーズンのメンバーを見ればアスパスの代役はサンティ・ミナもトロ・フェルナンデスも双方が務めることで問題なさそうに思えますし、全く同じゲームプランではなくても別のプランを考えられるだけの余裕を持つことができるメンバー構成になっています。
結果論にはなりますが、グラナダ戦で起きたことを考慮に入れれば(入れなくてもですが)開幕前に獲得できた選手達がこの状況を助けてくれることになるのかもしれません。
ただしそうだとしてもアトレティコが難敵であることに変化はなく、第5節はいろいろな意味で厳しい試合になるのかもしれません。