スペイン語、語学を独学で習得するのは可能なのか?
ある言語を「スクールや学校に通わず」「1人で」習得することは可能なのかというのは、勉強してみようかどうしようか考えるときに必ず悩むポイントだと思います。
理由はいくつかあると思います。
- 学校に通うほどの時間は取れない
- 見つけた学校に授業料を払う価値があるかどうかわからない
- 授業というものがどうしても苦手
- 自分のペースで勉強したい
などなど。人それぞれ様々な理由があるので、正しいとも間違っているとも言い切れません。
ただ1つ言えるのは、「独学での習得は可能」ということです。
スペイン語の独学習得が可能な理由
スペイン語に限らずですが、語学の独学習得は基本的に可能だと僕は考えています。
この「習得」の定義は広くなってしまうので、ここでは「とりあえず日常会話ができるまで」だとしておきます。
スペイン語での日常会話と言っても幅は広いですね。では、場面を想定して「こういう日常会話」だと定義しておきます。
- スペインの空港入管で受け答えができる
「何をしに来たのか聞かれて答えられる」
「どこに滞在するのか聞かれて答えられる」
「いつスペインを出国するのか聞かれて答えられる」 - タクシーに乗って運転手に目的地を伝えられる
「滞在場所の住所を伝えられる」
「聞き返されてもそれに再度答えられる」 - 街中で道を尋ねて目的地にたどり着ける
「行きたい場所がどこなのか聞ける」
「目的地にどう行けば良いのか聞けて、答えを聞き取れる」 - レストランや店に行って、目的のものを頼める、探せる
「ウェイターに食べたいものを注文できる。食べられないものを伝えられる」
「店で探しているものがあるか店員に聞ける。やり取りができる」 - 交通機関の利用方法を聞ける
「どの交通機関を使えば目的地に行けるか聞ける」
「地下鉄などで、どの路線に乗ればいいのか聞ける」 - スペインの空港での出国時に希望を伝えられる
「通路側、窓側、どちらの席が希望か伝えられる」
「荷物の重量超過があると言われてもわかる。超過料金をどこで払えば良いのか聞ける」
こんなところでしょうか。これぐらいのやり取りが可能だったら、旅行だったとしても中期滞在だったとしても、とりあえず日常生活は送れそうですよね。
外国語を話す、ということは実際にはそんなに肩肘張るようなものではないと僕は思っています。日常会話すら緊張して無理、という人もいるかもしれませんが、哲学について議論することが日常生活で頻繁にあるわけでもないし、学術論文を日常的に持ち歩いてそれについて語る機会が日本でもそんなに無いのと同じです。スペインやスペイン語圏でもそんなこと滅多にないです。
日本での日常生活を思い出してください。語弊があるかもしれませんが、そんなに普段から大したことを話しているわけじゃないですよね?下手したら、朝の挨拶と食事の注文、帰宅して家族と一言二言交わして寝る、とかのことだってあるわけです。
それがスペイン語や他の外国語になったからといって四六時中喋っているわけじゃないっていうことです。
では、どうやって独学すればいいのか?
幸いなことに、今の世の中にはインターネットとスマートフォンという素晴らしいツールがあります。
一昔前なら大学や語学学校に行くか、それこそスペインやスペイン語圏各国現地に行かなければできなかったことが、極端な例で言えば自宅の机の上だけで完結することすら不可能とは言えません。
僕がオススメできる独学の方法は下記です。
- YouTube
日本にユーチューバーがたくさんいるように、どの国でも彼らはいます。
旅行やおふざけ、商品紹介や日常生活のVLOGにゲーム配信など、やってることは日本のユーチューバーと変わりません。
自分が興味のある分野のスペイン語ユーチューバーをフォローして、彼らの話す内容をひたすら聞き取れるように耳を慣らしましょう。わからなかったら戻れば良いんです。生身の人間と違って、見ているのはただの動画ですから、何回同じところを聞こうとしても誰も文句言いません。むしろ何回も同じ動画を見てあげればアクセスが上がって感謝されるまであります。 - ネット上での原文リーディング
サッカーが好き、音楽が好き、演劇が好き、映画が好き。人には様々な趣味があります。スペイン語圏でもそれは同様です。スポーツ新聞があり、音楽雑誌やサイトがあります。演劇批評のサイトもあれば、映画の紹介サイトだってあります。
コンテンツにもよりますが、全文を無料で載せているメディアも数多くありますし、それらは日々更新され新しいネタがアップされます。いつでも最新のスペイン語に自宅で触れることができます。時間制限は全くありません。1つの文章が上手く理解できなくて30分かかろうが2時間かかろうが、誰も待たせていないから迷惑でもなんでもありません。好きなだけ読みましょう。 - スマホのラジオアプリ
iOS向けにもアンドロイド向けにも、スペイン語圏のラジオが無料で聞けるアプリがたくさんあります。
※今後別記事で紹介します。
休日の午前中や寝る前のベッドの中、通勤通学中の電車の中など、ちょっと時間があるときに流しているだけで耳が慣れてくるはずです。継続して定期的に聞いてれば聞き取れる単語も増えてきます。 - 無料のインテルカンビオ(会話練習会)
例えばFacebook上にはインテルカンビオという、お互いに日本語を教えたりスペイン語を教えたり、あるいはただスペイン語で会話を楽しむ無料の交流会サークルがあります。時間があればそういった集まりに参加して雰囲気だけでも感じてみればいいと思います。
これらに加えて、NHKのラジオ講座やテレビ会話もあります。NHKの語学講座番組は年々良くなっていて、NHKのテキストだけでも会話とフレーズ、文法を幅広く網羅しているのでやってみる価値があると思います。
ただ聞いていても何がなんだかわかりませんから、上記4つの中だと原文リーディングをしながら辞書を引き、意味を調べてわからない単語の読み方や意味を身につける。リーディングに慣れてきたら耳を鍛えるためにリスニングをやる。これだけでかなり違います。
あとは実践!
これらに慣れてきたらあとは会話の練習です。何もわからない状態でネイティブと話しても何もできないのは当たり前ですから、多少はリーディングやリスニングをやってみてからのほうがいいでしょう。
では、どこで会話をやればいいのか?都市部のほうがこの点は恵まれているかもしれませんが、スペイン語圏の人達は思っているより日本にいます。そして彼らは彼らで日本の生活を楽しんでいますから、遊びに行くことだって当然あるわけです。
飲みに行くこともあるでしょうし、食事にも行きます。人間なんだから当然です。
例として、僕がやっていたことを紹介します。※東京での話
六本木で外国人がよく行くクラブやバーを調べて通ってました。スペイン語っぽい名前のところがあれば優先して行くようにしていましたね。「東京の夜の遊び」と言えば海外でも六本木は有名なので、六本木交差点の周辺に週末の夜に行くと外国人がわんさかいます。
時期や年代によって変わっていくものだとは思いますが、大抵の場合は口コミで「あの店がよかった」と噂が広がり、いくつかの店に同じ言語圏の人達がたまることが多いです。スペイン語圏の人もそれは同じ。なので、まずは一軒スペイン語圏の人がいる店を見つけ、スペイン語を話しているのが聞こえたら話しかけ、自分がスペイン語を勉強していて、会話をしたいと伝えていました。
もちろん断ってくる人もいます。でもいいんです。「相手が断っている」と聞き取れたんですから。一人でも二人でも会話に付き合ってくれる人ができればしめたもの。友達とは普段どんなところに出かけるのかとか、スペイン語圏の人がよく集る店はないのかとか、いろいろ聞いて場所の情報を仕入れ、定期的にそこへ通ってひたすら会話の練習をしていました。
最初は会話にならないことも多かったですが、向こうも日本に住んでるわけですから日本語が全く話せないことはないので、こっちが言葉に詰まっていると助け舟を出してくれます。何が言いたいのか日本語で聞いてくれる人もいました。そうこうしているうちに、こちらの言いたいことが完璧に言えなくても、向こうの言ってることはだいたい何となくわかる=聞き取れるようになっていきました。
あとはネイティブの人が働いているスペイン料理店とか、中南米料理店なんかも行きました。店員さんがネイティブの人だったり、家族経営のお店だと奥さんや旦那さんがネイティブのことも多いので、一言二言スペイン語で何か言うとけっこう皆喜んで話してくれたりします。通えば仲良くなれて会話もしやすいので、そういう店は一軒作っておくと財産になります。・・・たまにオマケしてくれることもあったりしましたし。
結論:動き方次第でスペイン語も他の語学も独学は可能です
というわけで若干大雑把ではありますが、結論として繰り返すと、スペイン語の独学も他の語学の独学も十分可能です。
どこかで実践の機会を持ったほうが上達が早いのは間違いないので、ある程度のところまでやってみたらあとは実践の機会を探して見つけ出し、会話をする回数を増やしていければ尚いいです。
SNSでもネットで検索をしてもいいです。語学交流のサイトもありますから、そこでSkypeなどでやり取りするのもいいでしょう。幸いアニメやマンガも含めて、日本の文化に興味を持っているスペイン語圏の人達はかなりいます。
僕は仕事で南米のチリに行った時、空港の搭乗ゲートの前で待っていたら10歳ぐらいの女の子とその母親に捕まり、女の子に「日本の文化が大好きなので話を聞かせて欲しい」と言われ、2時間ぐらい付き合ったことがあります。その子の話によると、友達でもアニメやマンガで日本の風景や習慣を知り、オタクというわけではなく日本の文化に興味を持っていて知りたいと思っている子は大勢いたそうです。
どの国でも何千人もそんな人がいるわけではないでしょうが、少なくともその子は興味があったから僕=日本人に話しかけようと勇気を出したわけですね。立派な実践だと思います。
こんな風に、工夫次第で勉強法はいくらでもあります。是非皆さんも試してみてください!