スペイン人&スペイン語圏の姓名に関するルール

La Liga情報

スペイン語圏の名字にはルールがある

リオネル・アンドレス・メッシ・クッシッティーニ

ジェラール・モレーノ・バラゲロ

イアゴ・アスパス・フンカル

アレハンドロ・ホセ・エルナンデス・エルナンデス

ルイス・エンリケ・マルティネス・ガルシア

オスカル・ガルシア・ジュンジェン

ジュセップ・グァルディオーラ・サラ

シャビエル・エルナンデス・クレウス

などなど。

スペイン人やスペイン語圏の人物の名前は、とにかく長くて覚えにくい。

どれが名前でどれが名字なのか。どっちの名字で呼べばいいのかわからない。

そんなことを思った方もいるのではないでしょうか。

確かに初めて見ると「???」となりがちなスペイン語圏の氏名ですが、これにはきちんとしたルールがあります。

そのルールさえわかってしまえば、特にどうということはない話ですし、ルールがわかっているとその人の家族やルーツに関する想像ができるようになるので、それはそれでけっこう楽しかったりします。

名字のルール

僕はセルタファンなので、セルタの選手を例にします。

現在のセルタにおいてクラブの象徴的な存在となっている元スペイン代表FWイアゴ・アスパス。

彼のフルネームは

イアゴ・アスパス・フンカル

です。

名字は「アスパス・フンカル」。

よく疑問に思う方が多いのは、「どちらがメインの名字なのか」ということだと思います。

これに関してはスペインでも諸説があり、男女平等の観点なども踏まえるとどちらがどうとは簡単に言えない部分もありますが、”昔から大勢を占めていたと言われる一般論”としては、「アスパス」になります。

「アスパス」という名字は、「父方の父方」姓。

「フンカル」という名字は、「母方の父方」姓。

スペインを始めとするスペイン語圏全体で共通することですが、一般的には「名乗る第一の名字は父方の父方姓」であることが多く、そのためほとんどの人が自己紹介などで簡単に名乗るときは「ファーストネーム+父方の父方姓」で名乗ります。

したがって、イアゴ・アスパスのお父さんは「アスパス・〇〇」さんで、お母さんは「フンカル・〇〇」さんだったことがわかるようになっています。

お気づきでしょうが、スペイン人を始めとするスペイン語圏では、夫婦別姓どころか親子で名字が違います。名字が同じなのは「兄弟姉妹のみ」ということになるのです。

珍妙なジャッジをすることで有名なアレハンドロ・ホセ・エルナンデス・エルナンデス主審ですが、彼の場合は父方も母方も、両方の父方姓が「エルナンデス」だったというある意味で少し珍しい人なのかもしれません。

もちろん、他にも偶然の産物として親子や親戚同士で同じ名字の組み合わせになることが無いとは言いませんが、あまり多いとは言えないパターンでしょう。

法律が変わっていなければ、例えばスペインの場合だと夫婦で同じ名字にすることもできたはずですが、今現在どうなっているのかはさすがに僕も情報を追っていないのでわかりません。

ちなみに、スペインの場合に限って言うと「満18歳以上の成人は、自分の名字の順番を任意に変更することができる」と定められています。

名字にまつわる言い伝え

結局「父方姓」しか残らないのは女性蔑視ではないのか、と意見する方もいるかもしれませんが、これは男尊女卑とかそういう理由で残っている風習とは言い難いと考えられています。

かつてスペインを始めとするヨーロッパにおいて「名字を持つ者」というのは王族や貴族など、「家」「紋章」を持つ人々のみでした。

歴史の中で男性がリーダーになる慣例が生まれ、その結果として「家」の名字を男性が受け継いでいく習慣が生まれていったと考えられています。

そして少なくとも、僕がこの20年間で出会い、知り合ったスペイン人や中南米の男女達の中で、この名字にまつわるルールに反対する人はいませんでした。賛成か反対かというよりは、「そういうものだ」と思っていたのだと思います。

ただし、一般的に父方の父方姓を優先して名乗ることが多いとはいえ、母方の父方姓を名乗ることがおかしなことであるわけではありません。

中には様々な事情から父方の父方姓を名乗りたくない人はいますし、そういう人はファーストネーム+「母方の父方姓」で名乗っている人もいました。

この点に関しては日本人の僕達からすると、持っている名字の数や名字に関わる歴史的背景が全く異なっているので感覚的に理解するのは恐らく不可能に近いでしょう。

以上、スペイン人とスペイン語圏における名字のルールに関する話でした。

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