スペイン代表監督ルイス・エンリケが家族の問題を理由に辞任
スペイン現地時間2019年6月18日午後16:00。王立スペインサッカー連盟は記者会見を行い、ルイス・ルビアレス会長、ホセ・フランシスコ・モリーナSD、ロベール・モレーノ第2監督同席のもとで、現代表監督ルイス・エンリケ・マルティネス・ガルシアがスペイン代表監督の職を正式に辞任したことを発表しました。
※ロベール・モレーノはカタルーニャ人であるため、スペイン語表記の「Roberto」ではなくカタルーニャ語表記の「Robert」をカタカナ表記にしています。
ルイス・エンリケのスペイン代表監督としてのこれまで
2018年7月9日 ロシア・ワールドカップを指揮したフェルナンド・イエロの退任を受け、スペイン代表監督就任を発表。2018年7月19日 王立スペインサッカー連盟本部において、ルイス・ルビアレス会長、ホセ・フランシスコ・モリーナSDと共に就任会見を実施。改めてスペインA代表監督への就任を発表すると共に、代表チームのメンバー変更を含めた抜本的な改革を実施していくと明言。契約期間はEURO2020までの2年間であることが明らかにされた。2018年9月8日 イングランドのウェンブリー・スタジアムで行われたUEFAネーションズ・リーグのイングランド戦で初陣。2−1でイングランドを破り初戦を勝利で飾った。以降スペイン代表戦7試合を指揮(親善試合含まず)し、5勝2敗の成績。2019年3月26日 「重大な家族の問題」を理由にEURO2020予選マルタ戦前に全体練習から離脱。このマルタ戦以降、第二監督ロベール・モレーノがA代表を指揮。2019年6月10日 3月に引き続きルイス・エンリケが代表チームを指揮できる状態にないことを王立スペインサッカー連盟が公式に発表。ロベール・モレーノが3月のマルタ戦に引き続き指揮することが合わせて発表された。 メンバー選考はルイス・エンリケが行っており、全体練習はライブカメラでの中継を通じてルイス・エンリケが把握していることも合わせて明らかにされた。 2019年6月19日 現代表監督ルイス・エンリケが「不可抗力の家族の問題」により現職から退き、後任として第二監督を努めていたロベール・モレーノがスペイン代表監督として正式に就任することが発表された。 |
スペイン現地時間6月18日午後16:00から行われた記者会見ではルイス・エンリケからの公式声明文も発表されました。
ルイス・エンリケの辞任に対する公式声明文は下記の通りです。
今年3月以降、スペイン代表監督として通常の責務を果たせない状況が続いていることにより、私はその職務を辞することにしました。
RFEF=王立スペインサッカー連盟が示してくれた忍耐と信頼に対して心からの感謝を表します。
また、特に仕事を共にしてくれたスタッフ一同、そして選手達のプロフェッショナル精神に敬意を捧げます。
報道関係各位が私の状況を尊重し裁量を持って報じてくれたことも決して忘れることはありません。
心から感謝の意を表します。ありがとうございます。
ルイス・エンリケは就任以来、若干のメンバー変更を加えながら徐々にチーム作りを進めてきておりネーションズリーグでの敗戦はあったものの、そのチーム構成はスペインのサッカーファンからある一定の賛同を得ていました。
また王立スペインサッカー連盟もルイス・エンリケ本人と緊密にコミュニケーションを取り、最大限のサポートを実施していた中での辞任劇となっています。
各コメントから読み取れるものとは?
ルイス・エンリケが抱える「不可抗力の家族の問題」が何を指しているのかは公に明らかにされていません。
もちろん連盟内部や一部メディアの関係者、そして選手達の間では何が起きているのかは周知の事実だと予想されますが、これまでのところは全く情報がリークされていないため一般のファンにはわからない状態です。
ロベール・モレーノが就任挨拶として発言したコメントは、
私は100%ルイス・エンリケの哲学と主義の延長線上にある監督だとここで表明しておく。唯一不安なのは自分自身ではコントロールできない状況が襲いかかってくることだが、他のことは自分の働き次第だ。自分でコントロールできる種類の物事は恐れる必要はない。
もちろん指導者としてキャリアをスタートした時からいつか代表監督になりたいという目標と夢を持って活動してきた。しかし、残念ながらそれは今回のような形で実現させたいという種類の願いではない。
スペインサッカー界にとって、今日という日はほろ苦い一日として記憶されるものだろうが、私は自分に与えられた責任をしっかりと果たしていきたいと思っている。
もう一度明らかにしておくが、私も連盟も選手達も全員、いつでもルイス・エンリケの問題が解決されることを祈っているということは言っておきたい。
ルイス・ルビアレス会長も会見の中で、何度も「彼にはいつでもRFEFの扉が開かれており、彼の後ろにはスペインサッカー界全体が付いているのだということを知っていて欲しい」と述べています。
ロベール・モレーノが口にした
「唯一不安なのは自分自身ではコントロールできない状況が襲いかかってくること」
というフレーズがルイス・エンリケの置かれた状況に関する一種のヒントだと推測することができます。
つまりこの発言からは「ルイス・エンリケの身かあるいは周辺に」「自分ではどうにもならない問題が突然降り掛かってきた」ということが読み取れます。
事故なのか、それとも病気なのか、あるいは経済的な問題なのか。
それはルイス・エンリケ自身の身に降り掛かったものなのかそれとも家族の誰かに関わる問題なのか。
ルイス・エンリケは少なくとも6月に行われたEURO2020予選スウェーデン戦の全体練習まではライブカメラで参加していたと言われています。
となると、彼自身はその練習の様子を見ることができる状態にあったと考えられます。
スペインサッカー界全体がサポートを表明。望まれる「問題の解決」
推測ばかりしていても仕方がないのですが、状況がわからないためそれ以上の推測が意味を持つのかどうかすら判断に迷うところではあります。
スペイン代表、王立スペインサッカー連盟、各スポーツメディアがSNSの公式アカウントを通じてルイス・エンリケへのサポートを表明していることから、事態が簡単に解決するものではないことが読み取れます。
1人のスペインサッカーファンとして、ルイス・エンリケとその家族、彼らを取り巻く全ての問題が解決し再び笑顔で公に姿を現してくれることを心から願い、祈りたいと思います。