【コパ・アメリカ】対戦国チリは日本戦をどのように報じたのか?

La Liga情報

チリ代表が日本代表を4−0撃破

コパ・アメリカ2019 ブラジル グループC
日本0−4チリ
得点者41分:プルガール
54分:バルガス
82分:アレクシス・サンチェス
83分:バルガス

U-23代表メンバーを主体にした日本は招待国として参加中のコパ・アメリカ2019ブラジルのグループC初戦、対チリ戦で0−4と敗戦。黒星での発進となりました。

前半35分あたりまでは体の寄せが甘くなりつつも何とかチリに食らいついていた日本。2シャドーのような形を取りながら久保建英と中島翔哉が頻繁にポジションチェンジを繰り返し、二人共ドリブルでチリディフェンス陣をかわしてゴール前に迫るなど実力を見せましたが、41分にCKからプルガールが打点の高いヘッドで先制。

その後も一瞬の閃きで久保がペナルティエリア内でシュートを放つなど惜しい場面はあったものの、地力と勝負どころの見極めに優れたチリに合計4ゴールを奪われ、初戦を落とすことになりました。

チリや南米のメディアはチリの初戦勝利をどのように報じたのか?

一夜明けた現地時間6月18日朝のチリ地元メディアはディフェンディングチャンピオン、かつ大会2連覇中(センテナリオを入れるかどうかは議論の余地があると個人的に思っていますが)の自国代表チームの勝利を熱狂的に報じています。

チリ最大手全国紙「El Mercurio」

アメリカ大陸チャンピオン、日本を4−0で粉砕し大会に再登場

チリ有力全国紙「La Tercera」

連覇中の王者チリ、ブラジルに登場。初戦で日本に大勝

「AS」チリ版

初戦で輝きを放ったチリ、サンパウロで日本に大勝

各紙の報道内容

採点を公開しているASチリ版はレアル・マドリーへの移籍が発表されたばかりの久保のプレーを高く評価。両チーム通じて最高点となる3点(3点満点)をチリのチャルレス・アランギスとエリック・プルガールに与え、アレクシス・サンチェスとエドゥアルド・バルガスに2点を付けています。

両チームの他全選手が1点だったのですが、唯一日本で2点を付けられていたのが久保建英でした。

ASチリ版は試合詳報を伝える記事の中で、

参加国全代表チームの平均年齢より6歳も年若い日本代表に加わったこの新しいレアル・マドリーの新星は、日本代表に新たな息吹と武器を与え、スピードを加えた彼らの戦い方はチリの勝利を簡単なものとはしなかった。

と一定の評価。

またLa Terceraは

41分のエリック・プルガールの打点の高い見事なヘディングがゴールラッシュの口火となった。プルガールはマルセロ・ディアスではなく彼を選んだレイナルド・ルエダの判断が正しかったことを彼自身のゴールで証明し、序盤に久保建英に見事な股抜きを食らった際の不安感をプルガール自身のプレーで払拭することに成功した。

と久保のプレーも評価をしながら、4ゴールの口火を切ったエリック・プルガールに賛辞を送っています。

La TerceraもASチリ版も、チリが序盤の動きに固さが見られたことや必要以上に日本を警戒した戦い方を見せたことを批判的な文脈で伝えつつも、プルガールの1点目でその固さが取れ本来の動きに戻ったこと。また今シーズン不調だったアレクシス・サンチェスがゴールを奪ったことで今後の戦いに光明が大きく見えてきたことを好意的に伝えています。

「縁」のあるコロンビアでも日本対チリ戦を詳報

またチリ代表のコロンビア人監督レイナルド・ルエダの母国コロンビアの最大手全国紙El Tiempoも、日本対チリ戦を詳報。

注目とまではいかないまでも、コロンビア国内では2016年のFIFAクラブ・ワールドカップで、レイナルド・ルエダが監督を努めていたアトレティコ・ナシオナルが鹿島アントラーズに敗れていること。そして昨年のFIFAワールドカップ2018ロシア大会でコロンビア代表が日本代表に敗れていることに数日前から触れていました。

2016年リオデジャネイロ・オリンピックのグループリーグでも対戦し、コロンビアU-23代表相手にゴールを決めている中島翔哉にも触れ、コロンビア人にとってはここ3年間で「一応警戒すべき相手」として記憶に残っている日本に対して、コロンビア人であるレイナルド・ルエダがどのように対応するのかが話題の1つになっていました。

El Tiempoは試合結果を伝える記事の中で

若さを全面に押し出して対抗しようとする日本に対して、ルエダのチリ代表は困惑と窮屈さを感じさせる立ち上がりを披露してしまった。特に極東の超新星・久保建英が見せた輝きは右サイドのマウリシオ・イスラを度々困惑させることになった。

特に64分に久保は”メッシのような”輝きを見せ、アルトゥーロ・ビダルとガリー・メデルをごぼう抜きしてペナルティエリアに侵入。シュートは枠を外れたが、彼の才能の片鱗は感じさせるプレーを披露した。

と久保のプレーも詳報。

今回の1戦に関わる南米の関係国においては概ね上記のように報道されており、大方の予想通りチリが順当に日本を下したことを淡々と伝えています。

日本代表がコパ・アメリカに参加する意義とは

もともと今回の日本代表が東京オリンピックを見据えたU-23代表をベースに招集されていることは事前に報じられており、中島、岡崎、川島といったワールドカップや過去のリオ・オリンピックでも活躍したベテランメンバーを加えた構成であることは南米の関係国では周知の事実でした。

そのためチリ代表の勝利に関しては特に何の驚きもないものの、逆に日本が序盤に見せたいくつかの効果的なプレー(中島のドリブル突破や久保の股抜き)にチリが苦しめられた割にはよくリカバーして勝った、という論調が目立ちます。

日本国内では「為す術もなく敗れた無様な敗戦」的な報じられ方をしているようにも見受けられますが、南米全体ではむしろ「日本がそこそこチリを苦しめる中でチリが立ち直って勝利した」という文脈での報じられ方が多数を占めます。

ただし一見するとある意味での称賛とも取れる報じられ方には「U-23代表がベースになっているから」という前提条件があるからだということは明らかなので、果たしてこれがFIFAのインターナショナルマッチウィークに組まれた大会で、且つ日本がフルメンバーのA代表だった時に同じ結果であった場合にどのような報じられ方をしたのかはわかりません。

少なくとも20年前のようにメディア各社が正式に世に送り出した記事の中で、堂々と日本人選手の名前や背番号を別人のようなものに間違えて掲載することはなくなりました。予想以上に南米の現地メディアは日本代表のことも日本代表選手それぞれのことも研究し取材を行っているのが実情です。

90年代以降の日本サッカー革新期以降、日本国内のファンの目線もレベルが上がり求める内容もレベルが高くなっているので批判も的を得たものが多くなっているのは事実なのですが、冷静に考えてみればこのコパ・アメリカはCONMEBOLの都合で「呼ばれたから参加してあげている」に過ぎない大会だと考えることもできます。

なおかつ日本代表は2022年FIFAワールドカップ・カタール大会に向けてチームを構築中の状態であり、このコパ・アメリカに勝っても負けても失うものはありません。

U-23主体の代表を派遣したことに対する反対意見も多いようですが、今後控えるワールドカップ・アジア予選の際に招集を拒否されるよりは、日本サッカー協会としてはおとなしくしておいたほうが各選手の所属クラブに対する姿勢として得策という考え方もできるでしょう。

「国を代表するチームがそんなことでどうする」という意見もあるのは理解できますが、コパ・アメリカが本来日本にとっては無関係の大会であることを考えれば、正直な話としては南米諸国にとっては日本が真剣だろうとそうでなかろうと、実際には「どうでもいいこと」だろうとは感じます。

僕個人としては今回のコパ・アメリカに招集された選手の何人かが何かを掴み感じ取り、例えば最終的に次のワールドカップでベスト8進出を決める歴史的なゴールを決める、などの結果に結びつくのであればこの大会でいくら負けようとどうでもいいことなのではないかと思っています。

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