来シーズンに向けて立て直しが急務のレアル・マドリー
第36節終了時点で3位につけているレアル・マドリー。2018年ロシア・ワールドカップ開幕直前に、当時スペイン代表監督だったユレン・ロペテギの新監督就任を発表。スペインサッカー協会を激怒させ、ワールドカップ開幕前にもかかわらずロペテギが代表監督を解任される騒動に発展しました。
半ば「モラル違反の引き抜き」をしてまで監督に据えたロペテギでしたがシーズン開幕の結果は惨憺たる有様。ファンからもメディアからも「礼儀知らずの不埒者」扱いをされ続けた挙げ句、2018年10月29日にあっけなく解任。
後任にはクラブOBのサンティアゴ・ソラーリが就任し、一時は立て直したかに見えたものの狂った歯車はなかなか戻らず選手との衝突も度々報じられていました。結局2017−2018シーズンまで指揮をとり、チャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げていたジネディーヌ・ジダンを監督として再招聘。ジダンは2019年3月11日に再びレアル・マドリーの監督として表舞台に帰ってくることになりました。
2018−2019シーズン開幕前にクリスティアーノ・ロナウドをイタリアのユヴェントスへ売却し攻撃力の低下が懸念されていたレアル・マドリーでしたが、結局シーズンを通じてその穴を埋めきれなかった印象です。そもそも34歳になったとはいえ、いまだ世界トップクラスの選手であるクリスティアーノ・ロナウドの代わりがそう簡単に見つかるはずもないのですが、それを差し引いても攻撃陣の迫力不足は否めない状態でした。
クリスティアーノ・ロナウド移籍後の攻撃陣を引っ張ることを期待されていたであろうギャレス・ベイルも怪我がちな状況は変わらず、結局2018−2019シーズンのレアル・マドリーはクリスティアーノ・ロナウドの穴埋めができずに終わってしまうことになりそうです。
夏の移籍市場での獲得選手候補
各国の各クラブが夏の移籍市場で新たに選手を獲得するための動きを既に始めており、各メディアに様々な噂が踊っていますがレアル・マドリーも例外ではありません。
既に何人かの選手の名前がレアル・マドリーの今夏新加入選手候補として上がっていますが、クラブの現時点でのコメントは当然のごとく「まだ移籍市場は閉まっておらず夏は長い。我々は焦っているわけではない」という定型文のようなもののみです。
とはいえレアル・マドリーのプレシーズンは7月8日に始まることは決まっており、それまでに新加入選手のメディカルチェックや様々な事務作業も終わらせる必要はあるでしょう。
ジダンは既にギャレス・ベイルに口頭で直接来シーズンは彼を戦力として考えていないことを伝えたと報じられており、さらにマルコス・ジョレンテとダニ・セバージョスもジダンの来季構想には含まれていないと言われています。イスコ、クロース、ケイロル・ナバス、ルーカス・バスケス、ナチョにもレンタルでの放出が噂されているため、これらの報道が現実になるとすれば来シーズンのレアル・マドリーはほぼゼロからチームを作り直す作業に迫られるはずです。
そのためには悠長なことは言っていられないため、早急に来シーズンの核となるべき選手の獲得を決定する必要に迫られていると見るのが自然です。
気になるのは「誰を獲得するのか」という点ですが、様々な噂がある中で来季の主力候補として考えられていると言われる数人の選手に関する話をまとめてみました。
エデン・アザール
ロシア・ワールドカップで日本代表に劇的なアディショナルタイムでの逆転勝利を収めたベルギー代表の背番号10。イングランドのチェルシーでも不動のレギュラーとしてコンスタントな活躍を見せるエデン・アザールに関しては数年前から既にレアル・マドリーの補強候補であると報じられてきました。
アザール自身の憧れの選手がジダンだったとも言われており、その影響で2018−2019シーズンから加入するのではないかと噂されたこともありました。しかし2017−2018シーズン終了後にジダンが突然辞任してしまったため、アザールの獲得は今後困難になると見られていたのも事実です。
ところがレアル・マドリーの監督にジダンが復帰。クリスティアーノ・ロナウドが去り、今夏ギャレス・ベイルもチームを去る可能性がある中で今後の中心選手としてアザールを獲得することは理に適った話だと言えるでしょう。レアル・マドリーとアザール本人との間では既に口頭で合意に達したという報道もスペイン国内ではされており、真偽の程が気になります。
チェルシーは5月29日にアーセナルとのヨーロッパリーグ決勝を控えているため、アザールの移籍について何らかの公式なアナウンスがあるとすれば5月29日以降だろうというのが大方の予想です。
ルカ・ヨヴィッチ
元日本代表MF長谷部誠が所属するドイツのアイントラハト・フランクフルト所属のセルビア代表FWルカ・ヨヴィッチは今シーズンのブンデスリーガで27得点7アシストと爆発しています。ヨヴィッチの活躍もあり今シーズンのフランクフルトは、敗れはしたもののヨーロッパリーグでも準決勝まで進出。
フランクフルトはヨヴィッチの移籍金として7000万ユーロ(約86億円)を設定していると言われています。一方でレアル・マドリーとフランクフルト自体の関係は良好であり、なおかつフランクフルトがレアル・マドリーのドミニカ代表FWマリアーノ・ディアスに興味を示しているという報道も。このことから、マリアーノのフランクフルトへの移籍を交換条件として、移籍金を5500万ユーロまで値下げする交渉をする意図をレアル・マドリーが持っているとも報じられています。
仮にヨヴィッチの獲得が実現した場合はフランス人FWカリム・ベンゼマがどうなるのかという点も気になります。
フェルラン・メンディ
ジダンはブラジル代表DFマルセロに信頼を置いているものの、彼自身のやる気と危機感を煽るために左サイドバックのポジションにも競争が必要だと考えているようです。2018−2019シーズン中にマルセロが負傷した際、レアル・マドリーの下部組織出身であるセルヒオ・レギロンが一時期左サイドバックのポジションを奪取仕掛けましたが、完全に奪い取るまでは至っておらず、ジダンもレギロンではマルセロの競争相手としては不十分であると考えていると言われています。
そのため、フランスのオランピーク・リヨン所属のフェルラン・メンディの獲得を狙っていると報じられています。爆発的なスピードを誇り左サイドの攻撃に厚みをもたせられるメンディには、バルセローナも今後ジョルディ・アルバの後継として獲得を狙っているという噂があるため、その去就が注目されている23歳です。
ただし報道ではレアル・マドリーとリヨンの間に正式は交渉はまだ存在していないとも言われており、本当に交渉の席が設けられる場合はメンディの移籍金5000万ユーロの価格交渉が必須になるだろうというのが大多数の見方です。
ポール・ポグバ
ジダンが希望する来シーズンに向けての新戦力選手の最優先候補は、マンチェスター・ユナイテッドのフランス代表MFポール・ポグバだと言われています。以前からジダンはポグバの能力を高く評価していると言われていたので、改めて監督としてレアル・マドリーのチーム編成を考える立場になった今、ジダンがポグバの獲得をクラブに要望していたとしても不思議はありません。
ロシア・ワールドカップでの活躍も含めて実力は折り紙付きで疑問もありませんが、唯一障害になりそうな点は1億8000万ユーロ(約220億円)と言われる超高額な移籍金です。仮にポグバの獲得を本気でマンチェスター・ユナイテッドに対して打診・交渉するとしても移籍金の金額が最大のポイントになることは間違いないでしょう。
現在の所属選手をマンチェスター・ユナイテッドへ移籍させることで移籍金の引き下げ材料とすることも考えられますが、その場合は誰をマンチェスター・ユナイテッドへ差し出すのかが焦点になります。
いずれにせよ今シーズン終了後にレアル・マドリーの現主力選手は複数人が売却されるという見方が圧倒的に多いので、それらの選手達を売却した利益をどこまでポグバ1人に注ぎ込めるのか。クラブとしての判断が注目されます。
クリスティアン・エリクセン
アヤックスとのチャンピオンズリーグ準決勝でも存在感の大きさを示したトッテナム・ホットスパーのデンマーク代表MFクリスティアン・エリクセン。27歳と年齢的にも成熟したエリクセンの獲得は1年前にもレアル・マドリーの構想にありましたが、その際には2億5000万ユーロ(約308億円)の移籍金が設定されていたためレアル・マドリーは獲得を断念しています。
しかし現在エリクセンの契約は後1年を残すのみとなっているため、レアル・マドリーを含めて複数のクラブが獲得を狙っていると見られています。トッテナムとしては契約満了でフリー移籍されるよりは、移籍金の支払いを受け取れる現段階での売却であれば合理的な判断だと言えるでしょう。
エリクセン本人もレアル・マドリーでのプレーには興味を示していると噂されていますが、ドイツのバイエルン・ミュンヘンもエリクセンの獲得を希望していると言われています。
ドニー・ファン・デ・ベーク
前述した選手達と並行してレアル・マドリーはアヤックスのオランダ代表MFドニー・ファン・デ・ベークとも交渉を行うだろうという噂もあります。ファン・デ・ベークは21歳と将来性に溢れている選手で、何よりもポグバやエリクセンと比較した場合の移籍金がはるかに安価で済みます。
国際経験はまだ豊富とは言えないファン・デ・ベークですが、今シーズンの活躍を見ている限りでは彼の獲得に否定的になる関係者はいないでしょう。
ネイマール
ネイマールの移籍話に関しては噂レベルですら失笑ものと言えるレベルになってしまっています。バルセローナを電撃的に退団しパリ・サンジェルマンに移籍したネイマール。確かに主力としてパリ・サンジェルマンに貢献しているとはいえ、同僚であるウルグアイ代表FWエディンソン・カバーニとの確執や、プレー以外の面での幼稚な行動が原因で周囲からは不評を買い続けています。
母国ブラジルのメディアですら最近はネイマールに対して厳しい論調が増えており、その評価は「幼稚で思慮深さに欠け自分勝手」というものに落ち着いてしまいつつあります。
ネイマール本人はスペインに戻りたがっていると以前から言われています。しかし移籍金などの問題を抜きにしても、現在のネイマールを積極的に獲得しようとするクラブが多くあるのかどうか。残念ながら決してそうではないのが現実です。
ただし現在のレアル・マドリーの会長がフロレンティーノ・ペレスであることを考えれば、仮にネイマールがパリ・サンジェルマン退団に向けて自ら積極的に働きかけを行いアル・ヘライフィー会長からの許可を得ることができれば、おそらく金額にかかわらずレアル・マドリーはネイマールを獲得するために動くだろうと言われています。
レアル・マドリーの中盤には誰を獲得すべきだと思うか?@MARCAアンケート
ポール・ポグバ | 26% |
クリスティアン・エリクセン | 46% |
ドニー・ファン・デ・ベーク | 28% |
MARCAはマドリーに本社を置くスポーツ新聞であり、基本的にレアル・マドリー寄りの報道を行うことが多いため購読者もレアル・マドリーファンが多めのメディアです。そのため、このアンケート結果はある意味でレアル・マドリーファンの希望という見方をすることもできます。
一説にはクロアチア代表MFルカ・モドリッチも今後放出の可能性があるとも言われているため、攻撃の指揮役としてのエリクセンを獲得すべきとファンが考えている現れなのかもしれません。
今後の移籍市場の動きに注目
ここまでレアル・マドリーの移籍に関する動きについてまとめてきました。
果たしてジネディーヌ・ジダンを監督に復帰させたレアル・マドリーが、来シーズン巻き返すことは可能なのでしょうか?ここ数年ラ・リーガでは完全にバルセローナの後塵を拝する形になってしまっているレアル・マドリー。過去の実績ではレアル・マドリーがバルセローナを圧倒しているものの、ファンとしてはバルセローナが優勝することは面白くないでしょう。
フロレンティーノ・ペレス会長に対する今シーズンの風当たりは強まるばかりになっており、クラブとしてもこれ以上結果が出せない状況は受け入れられないはずです。
来シーズンのレアル・マドリーがどのような編成になり、どのような結果を残していくことになるのか。そのための計画としてどんな選手を獲得することになるのか、目が離せません。