フラン・エスクリバ「まだ改善の余地はある」
デポルティーボ・ルーゴとのプレシーズンマッチを3−0の勝利で終えたセルタ・デ・ビーゴのフラン・エスクリバ監督は、試合後の記者会見でシーズン初戦を勝利で飾ったことに満足していると述べ、開幕向けた手応えを語っています。
スターティングメンバーにホルヘ・サエンス、デニス・スアレス、ガブリエル・”トロ”・フェルナンデスの新加入組を並べ、GKセルヒオ・アルバレス以外はスタメン候補を争う立場の選手で固めて試合開始を迎えたセルタ。
前半の攻撃はデニス・スアレスとトロ・フェルナンデスの個人技頼みの部分があり、効果的なコンビネーションはあまり見られませんでしたが、最終ラインのホルヘ・サエンスが攻撃の組み立てに参加し、フラン・ベルトランが前を向ける状態でボールを持った際には光る場面もありました。
仮にホルヘ・サエンスがプレシーズンマッチや今後の練習を通じて安定したパフォーマンスを見せることができれば、グスタボ・カブラルが抜けて懸念されるセンターバックの選択肢として有力な候補になり得るのではないかという予感を感じさせるものだったのは間違いありません。
攻撃面ではあまり迫力のある場面を作れなかったセルタですが、開始3分にルーゴのオウンゴールで先制。
前半はそれ以上の得点を奪えなかったものの、イアゴ・アスパス、サンティ・ミナ、ブライス・メンデスを始めとするスタメンの有力候補が登場すると雰囲気は一変。
サンティ・ミナのセルタ復帰後初ゴール、ルーカス・オラサの飛び込みから得たPKをイアゴ・アスパスが決め、後半はセルタがほぼ一方的に試合を支配しそのまま勝利しています。
このルーゴ戦に勝利を収めたことに対してセルタのフラン・エスクリバ監督は
プレー内容としては後半のほうが良かったのは事実だ。見どころという面で言えば少なかったのは確かではあるが、プレシーズンマッチのよくある光景だと言えるだろう。
両チームともトレーニング日数はまだ少ないし、我々としてもトレーニングを続け改善していなければならない点が多々ある。もちろん、この試合の内容や結果で結論を急ぐつもりもない。
とコメント。
あくまでもルーゴ戦がシーズン最初の試合であり、まだチーム作りの最中であることを強調しています。
試合の総括コメント
フラン・エスクリバ監督は試合全体の総括として次のようなに記者会見で語っています。
前半は様子を見るために2トップにし、後半はより動きのあるイアゴ・アスパスやサンティ・ミナのような選手を投入することがプランであり、その方がいいだろうと考えていた。もっとも、プレシーズンにおいては異なるコンビネーションを試すことが大きな目的だ。
いずれにしても我々は後半においてよりダイナミックなリズムとスピードを保つことが出来たのは事実だ。
新たに加入した選手達のうち数人は”家の人間”であるし、プレーの面でいくつか適応する必要がある部分はあるにせよすでにお互いわかり合っている面が多く、連携面でも問題はないだろう。もしデニスが後半もプレーしていたらそれは顕著にわかることだったはずだ。すでに完成されたサッカー選手であればなおさらよりよい影響をもたらすこともできるだろう。
もちろん現在の我々には異なる環境、異なるチームメイトを得た選手達もいるが、彼らの努力に私はいまのところ満足している。
新たな選手の獲得に関してはまだ扉は閉まっておらず、何人かさらなる選手を獲得することができると考えている。そしてどのような特徴の選手が必要なのかを見極めている最中だ。
守備の面で我々は更に厳しくいかなければならないというのがチームにとっての課題であり、その意味ではプレシーズンマッチとはいえこの試合を無失点で終われたことは良かったと言えるだろう。守備面での改善は今シーズンの目的の1つでもあるのだから。
補強の必要性があるポジションはハッキリしている。我々はFWに3人の選手を抱えており、それにより昨シーズンよりも改善した。サイドにも人材は揃いつつあるが、もう少し人数が必要だろう。後方のポジションに関してはほぼ完成していると言ってもいい。チームとしての大枠は固まりつつあるが、更に総合力を高められる人材に対して扉を閉めることはない。
(去就が取り沙汰されているファクンド・ロンカリアに関しては)すでに4人のセンターバックがいることを考えると、ロンカリアはチームを去るほうが彼のキャリアにとってはいいことだろうと個人的には思っている。
常に誰かが去っていくべきなのは事実だし、フェリペ・ミニャンブレスSDともそれは話し合っている。移籍市場でより良いオプションがあるならそれも含めて考えるべきだということをね。もちろんそれは誰にとって良いオファーがある状況ならという意味だ。もしくは本人に興味を持つどこかのクラブがあれば考えるべき事柄だろう。
我々としては彼がチームを去る時に、更にチームが良くなるようなプレーをしてくれる選手を常に探しておかなければならない。
アルゼンチン人DFファクンド・ロンカリアは昨シーズン、バレンシアにレンタルされコパ・デル・レイ優勝を経験しています。
契約はまだ残っていますが、本人も更に高いレベルでのプレーを求めているとも言われており、そして現在のセルタにはまだセンターバックに多額のサラリーを支払う余裕はないのが現状です。
現在のセルタの方針としては残留のためにゴールが必要であり、そのためには前線を充実させゴールを奪い、中盤とディフェンスラインが一体となって守備を行うしかありません。
バレンシアから2年間のレンタルでホルヘ・サエンスは、ルーゴ戦でも広い視野と確実なボールコントロールで攻撃の組み立てにも参加できるタイプ。このタイプのセンターバックはこれまでセルタにはいませんでした。
ただ壁のように跳ね返すだけのセンターバックよりも、足元が使えて中盤とパス交換などを通じた連携を取りながら攻撃にも参加できるタイプのセンターバックのほうが現在のセルタには必要とされるタイプです。
2000年代初頭のエドゥアルド・ベリッソはまさにそのタイプでしたが、監督としてのベリッソは「硬い」タイプのセンターバックを好んでいるフシがありました。
前述のようにセルタはクラブ全体として、ディフェンスラインと中盤をより密接に結びつけた上で前線の優れたセンスを持つ選手にボールをより多く運び得点を狙う方針を取っているように見えます。
デニス・スアレスやサンティ・ミナの獲得はカンテラ出身者の帰還という目的もありましたが、両者ともボールを保持し、フィニッシュまで持ち込む能力にも優れた選手です。
これは自力で状況を打開できるタイプの選手が必要だったことを同時に示唆していて、彼らの能力を最大限発揮させる=ディフェンス面で余計な負担をかけさせない、ということが目指す場所になっていると僕は理解しています。
ルーゴ戦の前半と後半はまさに「前線のタレントを活かす」という点でプレー内容に違いが見て取れた内容で、プレシーズンの1試合目にしてはかなりハッキリと2019−2020シーズンに向けて目指すポイントが示された試合だったのではないかと思います。
開幕まで1ヶ月を切り、ここから更に新加入の選手がやってくるのか、それとも現有戦力で戦いながら冬の移籍に備えるのか。
レアル・マドリー、バレンシアと続く開幕のホーム2連戦で、もしかしたら今後のチーム作りについての課題も見えてくるのかもしれません。