四季によって変わるスペインの気候・気温
世界遺産、サッカー観戦、ファッション、料理、etc・・・。
世界各国から多種多様な趣味と目的を持った観光客を年間8,000万人以上(2019年度)迎え入れている「観光大国」スペイン。
当ブログ「ChemaLog」を訪問してくださった方の場合はサッカー観戦の情報やスペインサッカーの情報を求めている方が多いだろうと思います。
僕は約2年間に渡るスペイン在住経験の中で、開幕〜閉幕まで1シーズン通して観戦してきました。
その経験を元にして、今回の記事ではサッカー観戦でスペインに旅行しようと計画している方向けに、スペインの気候や気温。そしてスタジアム観戦についての注意点をご紹介したいと思います。
基本情報:スペインに「四季」はある?何月が何の季節?
よく「四季があるのは日本だけ」というような言葉も見聞きしますが、日本のように四季折々で風景や景色で様々な変化を見せるわけではないにせよ、スペインにもれっきとした「四季」があります。
スペイン語には
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のように、各季節を明確に表す単語が存在します。
これだけでもスペイン語の世界においても「四季」「季節」という概念があることがわかります。
スペインは日本と同じ北半球にある国ですから、大まかにわけると
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という感じで季節が推移し各四季を迎えます。
気候の変化もざっくり言うと日本と同じ。
春は陽気
夏は暑く
秋は涼やかで
冬は寒い
つまり、気温に関して言えば服装などは日本の四季=春夏秋冬に合わせたものを準備しておけば対策が取れるということになります。
ラ・リーガのシーズンに対応した季節表
スペインリーグ「ラ・リーガ・サンタンデール」のサッカー観戦、そして旅行向けにスペインの四季や気温・気候を考えてみましょう。
ラ・リーガのシーズンは毎年次のようなスケジュールで開幕・閉幕を迎えます。
8月中旬〜下旬【開幕】 12月20日頃〜1月7日【クリスマス休暇】 5月中旬〜6月初旬【閉幕】 |
シーズンごとに明確な日にちは変わりますが、概ね上記のようなスケジュールでシーズンが進んでいきます。
ヨーロッパ選手権やワールドカップ予選などの国際Aマッチデーが組まれている場合はラ・リーガの試合が中断されることはありますが、基本的には上記で紹介した日程の中でリーグ戦が行われることになります。
夏:灼熱の猛暑も湿気は日本ほどではない
スペインの夏は「猛暑」と呼べる気温になります。
特に中部カスティージャ・イ・レオン地方(バジャドリー等)、南部アンダルシア地方(セビージャ、ベティス、グラナダ、マラガなど)や、南東部バレンシア地方(バレンシア、レバンテ等)は日中の気温が40度を超えることも珍しくありません。
ラ・リーガの開幕時期である8月は特に暑さが厳しく、中部以南の各地方では40度超えはザラ。
ただし気温こそ高いものの、湿気が少なく乾燥した気候であるスペイン中部以南では日陰に入り風が吹けば汗だくになるほどではありません。
帽子やサングラスなど、熱中症対策を怠らずにこまめに日陰に入るようにし、必要以上に長時間太陽の下にいないように注意すれば体調を崩すことはないでしょう。
また、スペイン全国において共通していますが建物はホテルや商業施設も含めてエアコンが完備されていることがほとんどで、古い建物は分厚い石造りであることが多いです(地方により差がありますが)。
そのためスペインの夏は建物の中であればエアコンがなくてもヒンヤリと涼しいこともあるため、スペインにいて夏場の暑さが辛いと感じた場合はとりあえず屋内に入る方がいいでしょう。
スタジアム観戦時の注意事項
スペインの場合、ラ・リーガの各スタジアムは年々設備が良くなっています。
しかしプリメーラ・ディビシオンのスタジアムでも中位以下の小規模クラブの場合はスタンドが屋根で覆われていなかったりして、開幕直後の8月9月など暑さが厳しい時期は直射日光を浴びることも少なくありません。
夏のスペインは気候的に乾燥し気温も40度前後になることが多いため、日中or夕方といったまだ日が沈んでいない時間帯の試合観戦時には注意が必要です。
屋根のないスタジアムだったり、屋根があるスタジアムでも屋根で覆われていないエリアで観戦する場合は帽子やサングラスを準備しておく。また水分の確保も心がけたほうがいいでしょう。
ラ・リーガのスタジアムでは施設内の売店で水のペットボトルやジュースなどを購入することも可能です。スペイン語がわからなくても販売されている商品は陳列されていることがほとんどなので、指差して頼むこともできます。
町中のスーパーなどでは紙パックのジュースやワインなども販売されているので、それらを事前に購入しておいて持ち込んでもいいかもしれません。
とにもかくにも、夏場のスペインは気温が高く(40度前後)、乾燥していますから暑さ対策と水分確保に注意するようにしてください。
秋:寒すぎず暑すぎず観戦には最適。ただし防寒対策は必要
スペインの秋はだいたい10月中旬〜下旬ごろに始まります。
日中は北部(ガリシア、アストゥリアス、カンタブリア、バスク、ナバーラなど)で18度〜25度前後。
中部(カスティージャ・イ・レオン、カスティージャ・ラ・マンチャ、アラゴン、カタルーニャ、マドリーなど)で20度〜30度前後。
南部(アンダルシア、バレンシア、バレアレス諸島など)で25度〜32度前後。
というのがこの時期の気温です。
スペインは全国的に気候的には乾燥していますが北部は山や森が多く、特にガリシア地方やバスク地方の場合は湿気と雨がこの時期から増え始めます。
中部以南の場合は夏と同様に乾燥して気温も比較的高め。雨も降りますがガリシアやバスクほど連日雨が降ることは少ないと思っていていいでしょう。
日中の気温は上記の通りなのですが、日が落ちると少し状況が変わります。
前述のようにスペインの気候は乾燥しており湿気が少ない地方が多いため、日が落ちて夜になるにつれ気温が一気に下る傾向があります。
時期や地方によっても若干異なりますが、例えば午後3時と午後10時では5度前後気温が下がることもあったりします。
荷物がかさばるのであまり乗り気はしませんが、念の為に上に羽織るもの(パーカーや軽いジャケット的な何か)は準備しておいたほうが良いでしょう。
スタジアム観戦時の注意事項
ラ・リーガの試合開始時間は夏〜秋にかけては午後6時や8時、あるいは9時など日差しを考慮した時間に設定されていることが多いのですが、前述の通り秋口からは日中とそれ以降の時間における気温の差が大きくなってきます。
スタジアム到着時には日が出ていて暖かくても、試合終了時には日が落ちて肌寒さを感じることも多いはずです。
試合開始時は半袖のユニフォーム一枚で問題なくても、スタジアムを後にする頃には少し寒いということも十分考えられますので、できれば上着を一枚持っていったり、応援するチームのマフラーなどを持っておいて対策しておくほうがいいです。
冬:極寒だがセール期間でもあるため、サッカー以外の楽しみも
端的に言うと冬場である11月下旬〜2月下旬はめちゃくちゃ寒いです。
ただし、例年1月からスペインではウィンターセールが開始され、その期間が3月まで続くブランドやお店もあるため、冬物のコートやスペインの名産品とも言える革製品が普段より安く買える時期でもあります。
そのためこの時期のスペイン旅行はサッカー観戦や観光だけでなく、ショッピングも楽しめるというメリットがあります。
気候面の話に戻ります。
例えばスペインのみならず世界でも屈指の人気クラブであるレアル・マドリー、アトレティコ・マドリーが本拠とするスペインの首都マドリー。
ご覧のように11月からマドリーでは急激に気温が下がり始め、1月の最低気温は3度。
あくまでもこれは平均気温ですから、日によってはもちろん1度だったり場合によっては0度を下回ることも時間帯によってはあり得ます。
上記の画像はマドリーから北に300Kmほど北上した場所にあるバジャドリーの平均気温ですが、マドリーよりも気温が低いのがわかると思います。
特に1月〜2月にかけては朝方だと氷点下になることもザラですから、防寒対策は本当にしっかりしておくことが必要です。
観光都市として人気がある他の都市も見てみます。
マドリーやバジャドリーと比べれば最低平均気温は高めですが、それでも10度を余裕で下回っているのがわかります。
スペインは全土に観光名所があるため、1週間〜2週間の旅行ができれば複数の都市を回ることが多いはずです。北部や南部など、自分が行く都市や地方の平均気温などは上記を参考にしっかり調べて対策していくことが必要です。
スタジアム観戦時の注意点
とにかく真冬のスペインでラ・リーガ試合観戦をする場合、最大の注意点は「防寒対策」の一言に尽きます。
手袋やマフラー、ニット帽、ヒートテックの肌着や靴下、そしてホッカイロなどなど。
レアル・マドリーのサンティアゴ・ベルナベウは7万人を超える収容人数を誇り、なおかつスタンドも3階席まであります。
上層階の席は風が強いと下から吹き上がってくる寒風で凍えるようなことになのもしばしば。屋根はありますがどの階でも前の方は完全に屋根に覆われているわけではないため、雨が降ると濡れることも十分に考えられます。
アトレティコ・マドリーの場合は既に屋根のないビセンテ・カルデロンからスタンド全面が屋根に覆われたワンダ・メトロポリターノにホームスタジアムを移転しているため、試合中雨に濡れる心配はビセンテ・カルデロンほどではありませんが、ワンダ・メトロポリターノはマドリーの郊外に位置しているため風が強い場合は周辺に風よけとなる建物が少なく、体感温度が下がる可能性があります。
特に注意しなければいけないのはバジャドリーのホームスタジアムであるヌエボ・ホセ・ソリージャです。
バジャドリーは別名「スペインの冷凍庫」と呼ばれるほど冬場は極寒の気候。
僕は半年間バジャドリーに住んでいたことがありますが、住んでいた時期がちょうど冬場にかかる時期でした。12月〜2月にかけて朝は9時頃まで氷点下前後。
日が出ている日中は10度前後まで気温が上がりますが、日が落ち始める午後7時〜8時前後になるとまた急激に気温が下がる寒暖の差が激しい町です。
バジャドリーは人口40万人ほどの中規模都市で、ホセ・ソリージャは中心街から離れた場所にあるとはいえ周囲は吹きさらしと言ってもいいほど何もなく、しかもゴール裏スタンドの一部が吹き抜け状態になっている構造であるため、スタジアムの中に入ってもめちゃくちゃ寒いです。
ホセ・ソリージャで試合観戦する地元ファンは毛布やひざ掛けを持参し、マフラー、ニット帽、手袋、マスクなどの完全防寒装備でスタジアムに行くことも珍しくありません。こぢんまりとしたとても居心地のいいスタジアムであるのは間違いないのですが、バジャドリーでの試合観戦の場合は冬場の防寒対策はやってやり過ぎということはない、と考えてください。
春:3月から気温が上がり始め、シーズン終盤は快適な季節に
3月に入るとスペインでは全国的に気候が良くなり始め、気温も15度を超えることが増えてきます。特に南部のアンダルシアやバレンシアなどでは日中気温が20度を超える日も多くなるため、3月以降のスペイン旅行は気候的に恵まれたものになることが多いでしょう。
冬の気候を紹介したところでも書きましたが、1月から始まったウィンターセールが春先の3月まで続いているお店も少なくありませんから、マドリーやバルセローナなどの大都市では3月もショッピングが楽しめるでしょう。
セールが終わっていても、最近ではスペイン発のアクセサリーや革製品(靴、カバンなど)が人気ですし、日本に輸入されているブランドなども現地で買えば物によっては日本で買うより2割〜3割安いことがあります。
寒さに凍えず町中の散策を楽しめるのはこの時期最大のメリットです。
スタジアム観戦時の注意点
夏や冬と比べれば春先のラ・リーガ観戦における注意点はさほど多くありません。
ただし、秋と同じように日が沈むと気温が下がることが多いので、冬ほどではありませんが適切な防寒対策はしておきましょう。
シーズン終了間際の4月5月になってくると日が沈んでも半袖で過ごせる気候・気温になることもあるので、あまり防寒対策と呼ぶほどの準備は必要ないでしょう。
まとめ
「太陽と情熱の国」というキャッチコピーと共に紹介されることが多いスペインですが、ご紹介したようにスペインにもれっきとした四季があり、季節ごとに気候や気温は異なります。
誤解している方もいるかもしれませんが、スペインは決して「常夏の国」というわけではないのです。
上記のことに留意して準備をして行くことで、きっとスペインでのラ・リーガ観戦や試合以外の観光を楽しめると思います。
この記事があなたのスペイン「ラ・リーガ観戦旅行」の一助になれたら幸いです。