バレンシア戦後の国際Aマッチウィークでマジョルカから3人が離脱
9月1日に行われるラ・リーガ・サンタンデール第3節、メスタージャでのバレンシア戦を終えた後の国際Aマッチウィークで、マジョルカからは3人の選手が離脱することが決まっています。
スロヴァキア代表とマルティン・ヴァリエント
ヴァリエントは9月6日、9日に行われるEURO2020予選クロアチア戦、ハンガリー戦に向けたスロヴァキア代表に招集されています。
ヴァリエントは2018年6月4日の親善試合モロッコ戦でスロヴァキア代表にデビュー。23歳とまだ若く、スロヴァキア代表としても期待が高まるDFでしょう。
2013年〜2018年までイタリア・セリエBのテルナーナでプレーしていたヴァリエントは今シーズン開幕前にマジョルカへ加入。
キャリアで初の欧州主要トップリーグでのキャリアを歩み始めています。
マケドニア代表とアレクサンダル・トライコフスキー
マケドニア代表のアレクサンダル・トライコフスキーはすでにマケドニア代表として39キャップを記録しており、ヴァリエント同様にEURO2020予選のイスラエル戦とリトアニア戦をそれぞれ9月5日、9月9日に両方アウェーで戦うことになっています。
マケドニアが所属するグループGではポーランドが勝ち点12で首位。マケドニアは勝ち点4で現在5位に甘んじている状況です。
日本代表と久保建英
マジョルカから選出されている各国代表選手最後の1人が日本代表FW久保建英です。
久保自身はまだマジョルカでのリーグ戦デビューは果たしていないものの、一部にはレアル・マドリーとマジョルカの間で締結されたレンタル契約の中には一定時間の出場について言及されているとも言われており、これが真実だとすれば2019−2020シーズン中に少なくとも数分〜数十分は久保のプレー時間が確保されることになるのかもしれません。
とはいえ、プレシーズンマッチの状態を見ている限りでは契約による義務の有無に関わらず、実力で出場機会を得られる可能性のほうが高いだろうと僕は個人的に考えているのですが、果たして指揮官ビセンテ・モレーノはどう考えるのでしょうか。
その久保は日本サッカー協会によって発表された9月5日のパラグアイ戦。そして9月10日に行われるFIFAワールドカップ2020カタールに向けたアジア2次予選ミャンマー戦の日本代表メンバーに選出されており、状況次第でA代表として初のワールドカップ予選をプレーすることになるかもしれません。
理想的には今週のラ・リーガ第3節でリーグ戦デビューを果たして「実績」を積み、代表での試合出場に向けて弾みをつけたいところでしょう。
マテウ・アレマニーのマジョルカ会長時代
現在はバレンシアのGMとして敏腕を振るい、ファンからの信頼と期待の厚いマテウ・アレマニー。
1963年2月25日にバレアレス州最大の島マジョルカにある州都パルマ・デ・マジョルカに生を受けたアレマニーは、27歳だった1990年にレアル・クルブ・デポルティーボ・マジョルカのスタッフとしてプロサッカークラブ経営に関わるキャリアをスタートしました。
1990年当時のマジョルカ会長ミケル・コンテスティから誘いを受けてマジョルカの経営スタッフとして歩みを始めたアレマニーは、地元出身という出自を活かしながらマジョルカの強化に奔走。
地方クラブでの仕事を続けていたにもかかわらずその仕事ぶりはスペインサッカー界で話題を呼び、2000年のレアル・マドリー会長選挙において当時の現職だったロレンソ・サンスを破り会長に当選したフロレンティーノ・ペレスは、対外的には世界中のスター選手とカンテラ出身選手の融合によるクラブ強化を叫ぶ裏で、アレマニーをレアル・マドリーに招聘しようと密かに奔走していました。
しかし結局アレマニーは地元を選択。
マジョルカはアレマニーの離脱を避けるためアレマニーにマジョルカ会長の座をオファーし、結果アレマニーは2000年〜2005年までマジョルカの会長職を務めることになりました。
アレマニーのマジョルカ会長時代、所属・加入・活躍した選手はそうそうたるメンツと言ってよく、代表的な選手だけでも
GKカルロス・ロア、GKレオ・フランコ、DFミゲル・アンヘル・ナダル、MFアリエル・イバガサ、MFフィニディ・ジョージ、FWアルベール・ルケ、FWダニエル・グイサ、FWサミュエル・エトー
などの各国代表クラスの選手たちが多く活躍し、2000−2001シーズンにはリーグ戦3位を達成。
アレマニー会長時代が近年のマジョルカにおける黄金期とも呼べる時代となったのです。
バレンシアGMとしてのアレマニーと、マジョルカの再会
現在はバレンシアの敏腕GMとして実力をいかんなく発揮しているアレマニーですが、2019−2020シーズン開幕直前にはバレンシアのピーター・リム会長との不仲が顕在化。
外野から見ていると「優秀すぎるNo.2に嫉妬する経営者との対立」にしか見えないこのバレンシアの騒動は、真相はどうあれバレンシアというよりは単にピーター・リムへの印象を悪くしているだけで、アレマニー本人への評価はむしろ更に高まるだけの結果しかもたらしていないようにも見えます。
噂は噂でしかないのでなんとも言えませんが、巷で聞こえてくる噂がもし真実に限りなく近いものなのだとすれば、そう遠くない未来にバレンシアはピーター・リムかアレマニーの二者択一という選択をすることになるのではないかと僕は考えています。
2019−2020シーズンのラ・リーガ・サンタンデール第3節、スペイン現地時間9月1日の日曜日にバレンシアはホームスタジアムであるエスタディオ・メスタージャにマジョルカを迎えることになっています。
そしてこれは2005年以来、初めて公の場でマジョルカというクラブとアレマニーが再会する場になるのです。
アレマニーがバレンシアのGMに就任した2017年当時、マジョルカは実質的な3部リーグであるセグンダBに降格していました。
バレンシアがアレマニーの力でチームとして強化されていく一方、マジョルカは血を吐く思いをしながら現指揮官ビセンテ・モレーノによってセグンダA、プリメーラへと昇格。

ようやく戻ってきた「プリメーラのマジョルカ」と相対するアレマニーは、バレンシアの内情と比較しながらその姿に何を思うことになるのでしょうか。
2回戦総当りで行われるラ・リーガにおいて、次にバレンシアとマジョルカが対戦するのは2020年1月19日の第20節です。
次回の対戦時はマジョルカのホームスタジアム、ソン・モイシュで行われることになるわけですが、その場に果たしてアレマニーが姿を見せることはあるのでしょうか。
地元出身のアレマニーがソン・モイシュでプリメーラのマジョルカを見たくないと思うことはないでしょう。
次回の対戦でソン・モイシュにアレマニーが現れる時、彼の肩書は果たして「バレンシアのGM」なのか、それとも「ただの」マテウ・アレマニー・フォント個人なのか。
野次馬根性的に僕はそんなことを考えてしまうのです。


