スペインではラ・リーガ全クラブで全体練習解禁
LFP(スペインプロサッカー機構)は、ラ・リーガに所属するプリメーラ、セグンダA全クラブの全体練習を6月1日から解禁すると発表しました。
ここまで段階的に距離を開けてのほぼ個人練習→14人までのグループ練習が解禁されてきましたが、6月1日からの全体練習解禁によって各クラブは本格的にチーム練習を再開できることになります。
中断していたリーグ戦の再開も6月11日のセビージャ・ダービーから再開と正式に決定。
これにより、世界を覆った新型コロナウィルス(COVID-19)感染症の大規模拡大によって失われたサッカー界の日常が戻ってくることになります。
しかし、リーグ戦も当面は無観客で開催されることがほぼ決定事項のように報じられており、なおかつ各クラブの選手たちは練習前や練習後にマスクを着用。
チームスタッフも必要以上に選手たちとの接触を避けてマスクを着用していることからわかるように、新型コロナウィルスの脅威が過ぎ去ったわけではありません。
サッカーファンとしてはリーグ戦が再開されることは嬉しい。
しかし、最も大切なのは選手やクラブのスタッフ及び関係者に感染者が出ないことです。もし仮に感染者が出たとしても、早期に適切に対処し、重症化させずに回復できることが最も重要です。
無観客試合となる可能性の是非
奇しくもセルタのオスカル・ガルシア・ジュンジェン監督は、2月の段階で無観客試合の可能性について記者会見で話題を振られた際、次のように発言していました。
プロサッカーは選手や監督だけで成立するものではない。
スタジアムを彩り構成する一つの要素は間違いなく観客であり、観客が試合を作る部分が少なからずある。無観客で試合を行うというのはそれだけで一つの要素を失うことであり、ホームチームにとっては一つの戦力を失うのとほぼ同じ意味を持つと考えている。
一足先にリーグ戦が再開されているドイツのブンデスリーガでは、ここまで行われた全試合が無観客で行われています。
その勝敗におけるホームチームの勝率が以前と比べた場合極端に低くなっているという報道がスペインでも伝わっています。
オスカルが語っていた「ホームチームにとっては一つの戦力を失うのとほぼ同じ意味」という言葉が現実になっていると言ってもいい結果なのかもしれません。
本当にそうだとすると、もしかしたらこれからの11試合は各チームにとって「本当の地力」が白日のもとに晒される結果になるのかもしれません。
全体練習解禁を前にして、セルタは週末を休暇に
6月1日の全体練習を控え、セルタは5月最後の週末をオフとし、選手たちには休暇が与えられました。
ただし、休暇前の練習後には全選手がPCR検査を実施し現在はその結果待ち。
今回実施されたPCR検査は、正式な練習再開後3度目となる実施になっており、幸運なことにセルタには現在までのところ選手・スタッフ含めて感染者は出ていません。
ちなみに、セグンダ・ディビシオンAへの降格可能性があるのは、セルタ、バジャドリー、エイバル、マジョルカ、レガネス、そしてエスパニョールの6チーム。
この6チームのうちでこの土日を休暇にあてたのはセルタのみです。
その他の5チームは土曜日も含めて各練習場でトレーニングを実施したと報じられています。
目指すべきは残留。そしてクラブ全体の健康
真偽のほどは定かではありませんが、セルタにとって鍵となる選手に関する去就の噂がいくつか報じられています。
- ラフィーニャ
完全移籍のために必要な移籍金は1,600万ユーロ(約19億円)。アーセナルもシーズン終了後のラフィーニャ獲得を検討中。 - ルーカス・オラサ
セルタとボカが2019−2020シーズン終了までのレンタル延長と、セルタ残留の場合に買取オプション行使を12月とすることで口頭合意。一方でオラサの代理人はこの情報を否定。
他にもコロンビア代表DFジェイソン・ムリージョの去就を含めた移籍関連の噂がいくつか上がっていますが、もはや事ここに至ってはそれらの話は些末なことでしかありません。
重要なのはセルタに所属する全選手が今健康であることと、これからも健康であること。
そして今シーズン見事にプリメーラに残留することです。
移籍の話は残り11試合が行われる間、僕達ファンが気にしても恐らく意味がありません。
もちろん、僕個人としてはラフィーニャも、オラサも、ムリージョもスモロフもブラダリッチも残ってほしいのですが、残留しなければ1人も残らないでしょう。
その意味で今最も重要なのはとにかく「残留すること」。この一つしかありません。
そしてシーズンが終了するまで。さらには、シーズン終了後も含めてクラブから新型コロナウィルスの感染者を出さないこと。
この2つが最も重要なことでしょう。
ともあれ、ラ・リーガが僕達の日常に戻ってきます。
再開後の初戦がセビージャ・ダービーだというのが、世界が置かれた厳しい状況の中にありつつも、何とも気の利いた祝祭的演出のようにも思えます。
サンチェス・ピスフアンに人影はないのでしょうが、ある意味でスペインサッカーを代表する場所でもあるこのスタジアムから、再びスペインサッカーが歩みを進めていく。
なにか運命めいためぐり合わせを感じつつ、僕は6月11日を楽しみにしています。