【セルタ】フアンフラン「マキシ・ゴメスはプレミアにふさわしい選手」

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元セルタのフアンフランがマキシ・ゴメスについて言及

スペイン最大のスポーツ紙MARCAが、元セルタDFのフアン・フランシスコ・ガルシア・”フアンフラン”がウルグアイ代表FWマキシ・ゴメスについて「彼はプレミアリーグでプレーするにふさわしい選手だ」と発言したと報じています。

フアンフランは1999年〜2004年にかけてセルタでプレー。負傷続きだったラファエル・ベルヘスのバックアッパーとしてバレンシアから移籍加入後、左サイドバックのレギュラーとして定着し陽気な人柄と躍動感あふれるプレーでファンから人気を博しました。現在はイングランドのアストン・ヴィラのスペイン・ポルトガル市場担当オブザーバーとして働いており、その観点からマキシ・ゴメスはプレミアリーグのプレースタイルにより適合していると考えているようです。

彼は空中戦に強く、背後から放り込まれる長短のボールに対するポジショニングもいい。典型的な”9番”の素質を持っていて、セカンドボールに対する準備も常にできている。

何よりセンターフォワードとして常に求められるゴールに向かう姿勢を失わない。プレミアリーグはここ2〜3年で特に競争力を高めており、個人的な意見だが現在スペインでプレーする選手の中で、簡単にプレミアリーグでプレーできる選手はあまりいないだろう。

フアンフランは上記のように語り、マキシ・ゴメスであればプレースタイルと身体的特徴からプレミアリーグで十分通用すると語っています。

セルタは既にマキシ・ゴメス売却を容認の構え

移籍金が5,000万ユーロ(約61億円)に設定されているマキシ・ゴメスに対しては、複数の報道を元にすればイングランド(ウエストハム、アーセナル)、ドイツ(ボルシア・ドルトムント)、スペイン(バレンシア、セビージャ)からオファーが届いており交渉が続いていると言われています。

セルタは既にマキシ・ゴメス売却の意思を固めており、あとは獲得を希望するクラブとの条件交渉(移籍金や転売時の条件)を残すのみと言われており、セルタと交渉先クラブとの条件がまとまり次第、マキシ・ゴメスは2シーズン在籍したセルタを離れることになるでしょう。

スペイン代表FWイアゴ・アスパスの超人的な活躍によって首の皮一枚で奇跡のプリメーラ残留を果たしたセルタは、来シーズンに向けてチームの再構築と新鮮力の獲得が必須事項となっています。

そのためチームの強化資金としてまとまった金額を獲得することが必要なセルタと、キャリアアップのために新たな活躍の場を求めているマキシ・ゴメス側の思惑は一致しています。

マキシ・ゴメス放出後の獲得選手は?

マキシ・ゴメス売却の交渉を進めつつ、セルタは並行して新たなFWの獲得候補を探しています。これまで報じられている来シーズンに向けた獲得候補選手はジローナのFWクリスティアン・ポルトゥゲス・マンサネーラ・”ポルトゥ”と、バレンシアのFWサンティ・ミナの2名。

ポルトゥ

ポルトゥに対してはレアル・ソシエダ、バレンシアも興味を示しており、報道によればセルタとバレンシアよりもレアル・ソシエダのアプローチが一歩先をいっていると言われています。

ポルトゥの移籍金は1,000万ユーロ(約12億円)だとされており、セルタにとっては小さい金額ではありません。財政的な問題でこの移籍金の支払いに難色を示しているのがセルタで、レアル・ソシエダは支払う余地があるとサン・セバスティアンの地元メディアは分析しています。

サンティ・ミナ

サンティ・ミナはセルタファンなら覚えている方が多い選手でしょう。セルタのカンテラ出身であるミナは2015年までセルタでプレーした後、1,000万ユーロ(約12億円)の移籍金とともに6年契約でバレンシアに移籍。2017−2018シーズンにはリーグ戦だけで32試合12得点を上げバレンシアの前線を支えていました。

コパ・デル・レイを制したバレンシアですがスペイン代表FWロドリゴ・モレーノに移籍の噂が絶えず、その後釜としてバレンシア側からもマキシ・ゴメス獲得のオファーを出していると言われています。

出場機会を求めるミナとしてはマキシ・ゴメスが抜けてイアゴ・アスパスとコンビを組めるセルタは十分検討に値すると考えられます。しかし問題はチャンピオンズリーグなどのハイレベルな試合を経験してきたミナが、「まずはプリメーラ残留」を目標にするセルタでプレーするモチベーションを保てるかどうか。

セルタの立場としては1,000万ユーロで売却したミナを今度はいくらで買い戻せるのかがテーマになるでしょう。バレンシアが5,000万ユーロに設定されているマキシ・ゴメスの獲得を考えている現状で、単純なトレード的な移籍を選択肢に入れられるのか。あるいは別の案件として取り扱うのかも注目されます。

経営面で改革と改善を続けているセルタの過去と未来

1998年〜2004年までのわずかな”輝ける時代”と、2012年以降の”一瞬の輝き”の影響で「セルタはやれば出来る子」のように思われることもありますが、冷静にクラブの歴史と実績を照らし合わせてみればセルタ・デ・ビーゴというクラブはどこにでも転がっているようなエレベータークラブ候補の1つでしかありません。

カルロス・モウリーニョ会長の就任以降に時間をかけて行ってきたブランディングとマーケティング施策、そして下部組織の拡充と強化によって、継続的な収益確保と未来に向けた発展の土壌は作られつつあります。しかし今現時点での状況を見た時に、例えばセビージャやベティスなどの「第2グループ」に属するクラブにすら、クラブの規模や実力が遠く及んでいないことは明らかです。

そのような状況下で有望な選手がいた場合、クラブとして取るべき手段の1つが「安く買って高く売る」というものであることは否定のしようがなく、ファンの思惑はともかくクラブとしては「1ユーロでも高く買ってくれるところに売る」というスタンスを取ることは決して間違いではありません。

重要なことはセルタ・デ・ビーゴというクラブが存在していることであり、セルタ・デ・ビーゴというクラブが存続していくことなのです。

2000年代初頭に訪れた「輝ける時代」の落とし穴

2000年代初頭に訪れた「輝ける時代」当時、セルタには癖がありつつも実力を持った選手達が溢れていました。

ロシア代表のアレクサンデル・モストヴォイとヴァレリー・カルピン

元ブラジル代表で94年ワールドカップ優勝メンバーのマジーニョ

スペイン代表のミチェル・サルガード、フアン・ベラスコ、フアンフラン、セルヒオ・フェルナンデス

元アルゼンチン代表のフェルナンド・カセレス

アルゼンチン代表のグスタボ・ロペス、エドゥアルド・ベリッソ、ディエゴ・プラセンテ、パブロ・カバジェーロ

新旧ユーゴスラヴィア代表のゴラン・ジョロヴィッチ、サヴォ・ミロセヴィッチ

フランス代表のクロード・マケレレ、ペテル・リュクサン

イスラエル代表のハイム・レビーボ

南アフリカ代表のベネディクト・マッカーシー

UEFAカップに連続出場し、クラブ史上初めてチャンピオンズリーグへ出場するという快挙を彼らは成し遂げましたがスタメンからベンチに至るまで各国代表選手が溢れかえる裏では、毎年のように契約更新に関わる条件交渉が難航。

欧州カップ戦出場のボーナスとテレビ放映権料の分配があることを理由に年俸と契約条件の改善を要求する選手側と、「一寸先は闇」とばかりに契約更新オプション付きの1年契約にこだわるクラブ側の交渉は、毎年移籍期間が終了するまで続くことになりました。

その結果がチャンピオンズリーグに出場したシーズンでのセグンダA降格。グスタボ・ロペスを除くほぼすべての主力選手達は移籍していき、セルタのチーム力は著しく低下しました。

1年でプリメーラ復帰を果たしたことと前後してセルタの経営陣はオラシオ・ゴメス会長からカルロス・モウリーニョ会長へ交代。昇格の大功労者であるグスタボ・ロペスを容赦なく切り捨て、去就と契約条件が不透明なレンタル選手達を軒並み放出。「輝ける時代の闇」とでも言うべき部分を、徹底的に排除し切り捨てることでクラブの経営を根本的に改善しようと大きく動き出します。

経営の基本を実践し始めたモウリーニョ会長

無駄を省き、損は出さない。ガソリンスタンドチェーンを取り仕切る1人の経営者として、企業経営の考え方としてはごく当たり前の施策を次々に実施するモウリーニョ会長のやり方は、時にファンから激しく反発を受けました。

今でもグスタボ・ロペスへの仕打ちを理由にモウリーニョ会長を批判するファンが一定数います。敢えて言いますが僕もそのうちの1人です。

しかし冷静になって考えてみると、無理をして選手をつなぎとめた先に何が待っているのかは、既に結果が証明しています。セグンダA降格と多額の負債。さらにその先に待っているのはかつてのメリダのような「クラブ消滅」という悲劇だけです。

モウリーニョが会長に就任してから13年。

特にマキシ・ゴメスの移籍報道に関するファンの反応を見ている限り、恐らく多くのファンが僕と同様の気持ちを持っているのだろうということがわかります。

「マキシのおかげで財布が助かる」と。

例えば15年前の僕だったら「他の選手を売りさばいてマキシの給料を確保すればいい」とさえ思ったでしょう。しかし一瞬の間だけマキシ・ゴメスがセルタに残ったところで、彼は恐らく何もセルタに残しません。

ゴールは決めるかもしれない。

もしかしたらコパ・デル・レイの決勝に導いてくれるかも。

そうだったとしても、ただそれだけです。

イアゴ・アスパスやウーゴ・マージョ、セルヒオ・アルバレスのように「近所の坊主達が頑張っている」という郷土愛を掻き立てることはできないでしょう。マキシ・ゴメスはもしかしたら35歳までセルタでプレーすることはできるかもしれませんが、彼はウルグアイ人です。

引退や退団すればビーゴから去る人間です。

しかしアスパスやマージョ、セルヒオは違います。地元で生まれ育ち幼少からセルタでプレーした彼らは、例え移籍したとしても最後はビーゴに帰ってきます。彼らの息子や娘たちがサッカーを始める時、そこにセルタがありさえすれば、花を咲かせるかもしれない種を植えることができるのです。

クラブが存続しているということはファンと地元がいつまでも「可能性」を持ち続けることができるということを意味します。リーグ優勝やカップ戦優勝。欧州カップ出場や代表選手の排出。ビーゴから生まれ出るかもしれないありとあらゆる可能性は、セルタ・デ・ビーゴというクラブが存在していてこそあり得るものなのです。

果たしてその可能性は、例えばマキシ・ゴメスという1人の外国人選手と引き替えにするべきものでしょうか?

答えは明確に「否」です。

マキシ・ゴメスがいるからセルタがあるわけではなく、セルタがあるからマキシ・ゴメスに5,000万ユーロの価値が生まれたのです。そうであるならば、マキシ・ゴメスに5,000万ユーロを払うというクラブがあれば売却し、手に入れた5,000万ユーロで次のマキシ・ゴメスを獲得し、また別の5,000万ユーロを手に入れるべきです。

そのサイクルを重ねていくことで第2、第3のイアゴ・アスパスを手に入れ育てることができる。

サッカークラブの経営と運営とはそうやって行われていくのが自然なことだということを、僕は思うようになりました。

19年前に見た光景から思う、「あるべき姿」としてのクラブ経営

2000年のあるリーグ戦の日。出場停止者が重なり、背番号27を背負った年若いジョナタン・アスパスがリーグ戦に出場した後のこと。バライードスの0番ゲート前の駐車場に現れたジョナタン・アスパスの足元には、おどおどした表情の少年が押し寄せるファンの波に少し怯えながらも、憧れのピッチに立った実の兄にしがみついて離れようとしませんでした。

「おい、お前の兄貴、これから頼りにしてるぞ」

少年に対して誰かがそう声をかけた時、彼は弾けるような笑顔を見せていました。

それから19年後の3月。無邪気な少年からスペイン代表に上り詰めたかつてのイアゴ・アスパス少年は、ビジャレアル相手に2点を決めセルタを救いました。

ガリシアの土砂降りの中で勝利のリアンシェイラを歌うスタンドを見て涙するイアゴ・アスパスがいる一方、ベンチ裏のリオ・バホスタンドにいる1人の少年の姿をテレビが捉えていました。

空色のレインコートをまとったその少年は涙を流しながら、それでも満面の笑みでクラブと彼のヒーローであるイアゴ・アスパスの名前を叫んでいました。

その光景を見た時に僕は改めて思ったんです。

「代表やチャンピオンズリーグ、優勝だってどうでもいい。ただセルタがそこにあり、地元出身の選手がゴールを決める。それを皆で分かち合って喜べる時間があれば他には何もいらない」と。

バルサやレアル・マドリーのように毎年何かのタイトルを争うクラブを追いかけ、数百億円の選手獲得を繰り返し、スーパースターが並ぶチームを見ることはもちろん楽しいことです。

しかしその一方で、セルタのようなガリシアのちっぽけな町にある、実績も歴史も大したことのないクラブを取り巻く人々が見せてくれる「何気ない日常を楽しめる喜び」が持つ素朴で大切な何か。それを追いかけることも、巨大になったサッカーというビジネスを楽しむ1つの方法であると僕は思うのです。

僕はセルタにおけるイアゴ・アスパスは、サッカークラブの経営という行為が生み出した珠玉の結果の1つに思えます。そして1つでも1人でも多くのアスパスのような選手が、各クラブにいて欲しいと思いますし、それを見ることが楽しみで仕方がありません。

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