シャビ・エルナンデス、カタールでの今シーズン終了後にスパイクを脱ぐ Xavi Hernández colgará las botas a final de temporada en Catar
スペイン国営メディアRTVE(ラディオ・テレビシオン・エスパニョーラ)の報道によると、元バルセローナ・元スペイン代表のシャビ・エルナンデスが今シーズン終了後に現役を引退すると表明したとのことです。
シャビは1998−1999シーズンに当時所属としてはバルセローナBだったにも関わらず、当時の監督ルイス・ファン・ハールによってトップチームに抜擢されデビューし、2014−2015シーズンまで17シーズンに渡ってバルサのトップチームでプレーしました。
シャビのデビューシーズンにおけるバルサ主要メンバーは下記の通り。
- パトリック・クライフェルト
- リヴァウド
- セルジ・バルジュアン・エスクルサ
- アベラルド・フェルナンデス(現アラベス監督)
- ルイス・エンリケ・マルティネス(現スペイン代表監督)
- ミハエル・ライツィハー
- ロナルド・デ・ブール
- フィリップ・コクー
- ジオヴァンニ
- ソニー・アンデルソン
- ジュセップ・グァルディオーラ(現マンチェスター・シティ監督)
と、錚々たるメンバーでした。
デビューからバルサ退団まで
シャビのデビュー戦は1998年8月18日のスーペル・コパ・デ・エスパーニャ、対マジョルカ戦。この試合でシャビはトップデビューと同時に得点も決め、センセーショナルなデビューを飾っています。
しばらくはバルサBとトップチームとの往復が続きましたが次第にトップチームに定着。膝の負傷でシーズンの大半を欠場した2005−2006シーズン以外はほぼフル出場に近い試合数をこなしてきました。バルサで最後のシーズンとなった2014−2015シーズンは途中出場が多くなったものの、最終的にはリーガ31試合出場を含むシーズン通算43試合に出場。その後カタール・スターズリーグのアル・サッドに移籍し現在に至っています。デビューから2000−2001シーズンまでは、ジュセップ・グァルディオーラと2人で中盤の底を担当することが多く、当時はどちらかと言えばシャビが下がり気味でバランスを取りつつ、攻撃の指揮をグァルディオーラが取るという役割分担でした。
デビューしたてだったにも関わらずバルサファンの要求は非常に厳しく、同時期にデビューしていたカルレス・プジョールと共にブーイングを浴びることも当時は珍しくありませんでした。しかし2001−2002シーズンからグァルディオーラの退団に伴い、攻撃のタクトを任されることが多くなると徐々に本領を発揮。もともと愚直で堅実なプレーを続けながらもグァルディオーラと比較され、「派手さや華麗さに欠ける」と評されることもあったプレースタイルが洗練されていきます。
正確なトラップと広い視野、抜群のボディバランスでボールをコントロールし中盤を支配。いつしかシャビはバルサの中盤に欠かせない選手として唯一無二の存在へと昇華していきました。2005−2006シーズンは膝の靭帯を痛めシーズンの半分を欠場することになりましたが、それ以外では負傷による欠場や交代はほぼ無いに等しく、怪我への耐性が高いこともシャビの評価に大きな影響を与えたと見られています。
その後もバルサの中盤に君臨し数々のタイトル獲得に貢献。スペイン代表としても2010年南アフリカワールドカップにおける優勝の立役者として活躍しました。
35歳となった2015年にバルサを退団するまで、バルサ一筋のキャリアを歩みカタールへ移籍しています。
RTVEの記事を要約
- バルセローナの元キャプテン、シャビ・エルナンデスはカタールのアル・サッドでリーグ優勝を成し遂げた後、その21年間のキャリアに終止符を打つ
- 元バルサであり、元スペイン代表でもある彼は指導者としてサッカーの世界に関わり続ける意向
シャビはクラブを通じてメディアとファンに向けてメッセージを発しています。
39歳までプロとしてサッカーをプレーすることができたのは大きな特権だろうと思う。今はこのシーズンをアミール・カップに勝ち、来シーズンのアジアチャンピオンズリーグ出場権を得て終えることを望んでいる。そしてこれが自分にとって選手として最後のシーズンになる。将来的には自分が指導者になれることを望んでいる。
私はこれまでバルセローナでサッカーをする上で最大の指標となるヨハン・クライフとラ・マシアの影響を受けて長年サッカーをプレーし成長してきた。ピッチ上で主導権を握るチームのプレーを観ることが好きだし、それはすなわち幼少時から我々が慣れ親しみ愛してきた攻撃的なサッカー、つまりポゼッションサッカーそのものだということだ。
サッカーは人の人生をより良いものにするツールのようなものだ。(カタールで過ごした)この2年間で私が得たものは1つの特権でもあっただろうと思うし、私に様々なことを可能にしてくれたサッカーをプレーすることでピッチ上の主導権を握ることを示すのが義務だっただろうと考えている。
だからこそ、それと同時にアメージング・ジェネレーション計画で仕事をすることは私にとって非常に重要だ。2022年のカタール・ワールドカップ開催を始めとするこの素晴らしい計画が続いていくことを願っている。
スターズ・リーグ優勝は私に唯一欠けていたものだった。このタイトルを勝ち取れたことで、私のカタールにおけるキャリアは完璧なものになった。私がカタールに来てからリーグタイトル以外は全て勝ち取ってきた。リーグ優勝を成し遂げた今だからこそ、アル・サッドスポーツクラブに感謝したいし、これまで積み上げてきた努力とハードな仕事はこのタイトルにまさしくふさわしいものだ。
あと4週間はプレーをするためにスパイクの紐を結ぶことになる。そしてその4試合を終える21年間のキャリアは世界が私に与えてくれた、何にも変えられない忘れられないものだ。
シャビの人柄がよく伝わってくる穏やか且つ理知的なコメントです。
シャビの今後
さて、シャビは引退後に指導者へ転身することを発表しましたが、具体的にどのような道筋が用意されているのかは明言されていません。
例えばルイス・エンリケやグァルディオーラの場合、スペインサッカー協会の指導者ライセンスを取りつつバルサの下部組織ラ・マシアで育成年代の指導から指導者としてのスタートを切っています。同時に彼らはUEFA主催の国際大会での指導資格であるUEFAライセンスの取得も進め、並行して指導年代層をカデーテやフベニールからバルセローナBへと上げていき、最終的にトップチームの監督として最高レベルのリーグで監督としてデビューしました。
大方の予想としてはシャビも同様の道を歩むと見られていますし、恐らくはバルサ首脳陣もそうなることを望んでいるでしょう。
現在のバルサは下部組織出身の主力選手としてリオネル・メッシ、セルジオ・ブスケッツ、セルジ・ロベルトやカルレス・アレニャーなどがプレーしていますが、メッシとブスケッツは30代中盤に差し掛かろうとしており、最大でもあと3〜4年のうちには世代交代が課題となるはずです。
メッシほどのレベルの選手は変えが聞きませんが、古くはホセ・マリ・バケーロからジュセップ・グァルディオーラ、そしてシャビ・エルナンデスからセルジ・ブスケッツへと引き継がれてきた下部組織出身MFの系譜を新たに育てるのにシャビほどの適任者はいないだろうと思います。
グァルディオーラやルイス・エンリケが引退後さほど時間を置かずに大舞台へ監督として戻ってきたように、数年後のバルサのベンチにシャビが座り、いずれかのタイトルを選手と掲げるシーンを目にすることができるのかどうか。
今からとても楽しみです。