【コパ・デル・レイ】バレンシアが11年ぶりの国内タイトルを獲得

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コパ・デル・レイ決勝でバレンシアが勝利

2018−2019コパ・デル・レイ決勝が現地時間5月25日にベティスのホームスタジアム、ベニート・ビジャマリンで行われ、バレンシアが2−1でバルセローナを下し優勝しました。

バレンシアは11年ぶりの国内タイトル獲得となり、経営問題を抱えながらラ・リーガや欧州カップ戦を戦ってきたこの10年間で最も成功したシーズンになったと言えるでしょう。

復権の優勝と経営難による混沌から再び飛躍の時へ

ラファエル・ベニス監督時代の2001−2002シーズンと2003−2004シーズンに2度のリーグ優勝を飾り、黄金時代の到来かと思われていたバレンシアでしたが、その後は巨額の負債を抱え経営難に陥ります。

2007−2008シーズン途中にキケ・サンチェス・フローレス監督を解任し、後任に就任したオランダのロナルト・クーマン監督はミゲル・アンヘル・アングーロ、ダビ・アルベルダ、サンティアゴ・カニサーレスなど当時の主力メンバーを突然戦力外扱いとしファンから激しい反発を受けることに。

散々チームを引っ掻き回した挙げ句にシーズン途中でクーマン監督は解任されますが、この騒動をきっかけにバレンシアの壊滅的な財政状況が続々と明らかにされることになり、当時のバレンシアファンは阿鼻叫喚の渦に巻き込まれていました。

2010年夏にはダビ・ビジャ、ダビ・シルバといった当時の主力をそれぞれバルセローナ、マンチェスター・シティへ売却。翌2011年にはフアン・マタもチェルシーへ売却し綱渡りでクラブを運営。

セグンダ降格だけは避けられていたものの、可もなく不可もなくといったシーズンを何年も送った末の2014年。クラブ会長にシンガポール人のピーター・リム氏が就任。ここから徐々に経営状態とチーム成績が復活の兆しを見せ始めます。

マルセリーノ・ガルシア・トラルが監督に就任した2017−2018シーズン以降は安定した戦いを見せ始め、一部の選手と監督・首脳陣との対立はあったものの、2018−2019シーズンのチャンピオンズリーグはグループリーグで敗退したものの、最終的には最終順位を4位としチャンピオンズリーグ出場を確定。

そしてシーズンを締めくくるコパ・デル・レイでの優勝という形で2018−2019シーズンを終えることになりました。

ディフェンス時の素早い出足と堅実に構築された守備ブロックで、ルイス・スアレスがいない影響なのか孤立しがちなリオネル・メッシを押さえ込みつつ、ボール奪取後の素早い展開から前半にケヴィン・ガメイロとロドリゴ・モレーノのゴールで2−0としたバレンシアは試合終盤まで安定してバルサの攻撃を押さえ込みます。

72分にクレマン・ラングレーのヘディングからこぼれ球をリオネル・メッシが押し込み1点を返したバルサでしたが、追いつくまでには至らず。

逃げ切ったバレンシアが11年ぶりのタイトルを獲得し、チャンピオンズリーグ出場と合わせていい流れでシーズンを終えることができたと言えるでしょう。

バレンシアと対象的に課題を抱えてシーズンを終えたバルサ

逆に不安要素だらけでシーズンを終えることになったのがバルサです。

チャンピオンズリーグ準決勝の敗退に端を発したエルネスト・バルベルデ監督の去就に関する話題や移籍に関わる噂が多発しており、クラブを取り巻く環境には騒音だらけ。

クラブ側はバルベルデの続投を匂わせつつも、コパ・デル・レイ決勝が終わるまでは監督・選手の去就問題には一切言及しないと公式に発表していました。

仮にコパ・デル・レイ2連覇を達成し、2年連続での国内2冠を達成できていた場合はそのままバルベルデの続投というのが既定路線だった可能性があります。しかし、この敗戦でバルベルデの将来はわからなくなったと僕は思います。

バレンシアとのコパ・デル・レイ決勝前半、0−0の状態ではリオネル・メッシが個人技で数々のチャンスを作っていましたが、追いかける展開の最中でもメッシ以外を経由して決定的な得点チャンスを作れているシーンがあまりにも少なすぎました。

超人的なスキルを持つがゆえ、そしてここに至るまで勝ち取ってきたものの多さと大きさゆえに、アルゼンチン代表でも様々な意味で孤立することが多いメッシ。

2017−2018シーズンまではカルレス・プジョール、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタなど、ある意味「見守り、サポートする存在」に囲まれていたメッシ。バルサでも代表でも「周囲を引っ張るリーダー」としての役割が求められる年齢と立場に立たされているメッシにかかるプレッシャーは日に日に大きなものになっていると想像できます。

今のバルサにもセルジオ・ブスケッツやジェラール・ピケ、そして特にルイス・スアレスなどがおりサポート役が不在というわけではありません。しかし、スアレスのいない前線でメッシをサポートし、時にはメッシを「使う」ような役割をこなせる選手がバレンシアとの決勝では見当たらなかったと僕は感じています。

「メッシ後の世界」

そう遠くない将来、「メッシ後の世界」がやってくることを考えれば今のバルサが取り組まなければならいのは「メッシ後の世界」に備えた選手の育成。そして同時に「その時」に備えてメッシ依存のプレースタイルから脱却する選手層を構築することでしょう。

その意味ではシャビ・エルナンデスが引退発表のコメントで発言していた「ボールポゼッションを基本としたサッカー」、つまりバルサがクラブの特徴として下部組織から取り入れているスタイルを、改めてトップチームで実現できる体勢の構築が求められていくはずです。

「サイクルの終焉」という言葉がしばしばサッカーの世界だけではなく様々な世界で使われますが、終焉かどうかはともかく、同じメンバーでの同じスタイルのサッカーというのは永遠に続くことはありません。

エミリオ・ブトラゲーニョらを中心とした「キンタ・デ・ブイトレ」時代のレアル・マドリーもその後チームの再構築に時間がかかっていますし、当のバルサも故ヨハン・クライフが築き上げた「ドリーム・チーム」時代以降は極度にシステマチックな形を強引に取り入れたルイ・ファンハール就任までは苦しみました。

メッシの登場と共に黄金時代を10年以上に渡り維持してきたバルサですが、このままいつまでも同じスタイルが続かないことはクラブ首脳陣が一番良くわかっているはずです。

「Mès que un club=クラブ以上の存在」

という標語が表す通り、カタルーニャの文化的象徴の1つとしての側面もあるFCバルセローナ。

32歳のリオネル・メッシを頂点にした現在のチーム構成を、「メッシ後の世界」が訪れるまで強引に維持するのか。

それとも「メッシ後の世界」がやってくる前に何らかの手を打てるのか。

2019−2020シーズン以降、バルサはその課題と向き合うことになるのではないか、と僕は個人的に考えています。

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