チャンピオンズリーグ決勝に備えた練習を行う予定のトッテナム
現地時間6月1日に行われる2018−2019UEFAチャンピオンズリーグの決勝を控えているイングランドのトッテナムとリヴァプール。
決勝はスペインのマドリーにあるエスタディオ・メトロポリターノで行われます。メトロポリターノはアトレティコ・マドリーがラ・リーガでホームスタジアムとして使用しているスタジアムで最大収容人員は67,829人。
こけら落としは2017年9月16日のラ・リーガ第4節、アトレティコ・マドリー対マラガ戦でした(試合は1−0でアトレティコの勝利)。もともとは1994年9月6日に完成したエスタディオ・オリンピコ・デ・マドリー。通称「ラ・ペイネータ」として存在していたスタジアムで、2012年、2016年、2020年のマドリー夏季オリンピック招致に向けたメインスタジアムとして設定されていました。
しかしいずれの招致にもマドリー市は落選。2013年にアトレティコ・マドリーがラ・ペイネータへのホーム移転を決め、中国の大連万達グループが命名権(ネーミングライツ)を取得しスタジアム名称が「ワンダ・メトロポリターノ」となることが決まったスタジアムです。
しかしこのネーミングライツはスペイン国内でしか有効にならないため、国際大会などが開催される場合にはスポンサー名である「ワンダ」が外され、「エスタディオ・メトロポリターノ」と呼称されます。
このメトロポリターノで開催されるチャンピオンズリーグ決勝に向け、トッテナムはマドリーでの事前練習会場としてレアル・マドリーからシウダー・デポルティーバ・バルデベーバス(バルデベーバス練習場)を提供してもらうことになっています。
バルデベーバスには合宿用の宿泊施設も併設されており、レアル・マドリーの選手達は試合前日にここに集合してからサンティアゴ・ベルナベウへ向かうことになっています。
そのためバルデベーバスで宿泊と練習をまとめてしまったほうが圧倒的に利便性は高いのですが、トッテナムは宿泊をマドリー市内のユーロスターズ・デ・ミラシエラにするとしています。
事の経緯をラジオ局Cadena COPEがポチェッティーノに直撃
練習場は提供するのに宿泊施設の提供がされないという不思議な状況に関して、スペインの大手ラジオ局Cadena COPEがサッカー番組「El Partidazo de COPE(エル・パルティダッソ・デ・コペ)」内でトッテナムの指揮官マウリシオ・ポチェッティーノへ単独インタビューを実施。名物インタビューアのフアンマ・カスターニョが1対1で事実関係の確認を行いました。
ポチェッティーノによるとトッテナム側が練習場の提供と宿泊の許可を求めたのに対して、レアル・マドリーが宿泊施設の提供を拒否したとのことなのですが、レアル・マドリー側はこのポチェッティーノの主張を否定しており、以下のような声明を発表しています。
チャンピオンズリーグ決勝に備えてシウダー・レアル・マドリーの宿泊施設を使用したいと要求したことが拒否された、というマウリシオ・ポチェッティーノの主張に驚いています。
レアル・マドリーとして明らかにしておきたいのは、このような要求があったということは全く事実ではないことです。我々クラブはUEFA、王立スペインサッカー連盟、アトレティコ・マドリー、トッテナム、リヴァプールからの全ての要求に対し対応可能である旨を表明してきています。
レアル・マドリーはこのように主張しているのですが、ポチェッティーノ本人はCadena COPEとのインタビューの中で「この声明こそが謎ですね」と語っています。
ポチェッティーノによるとトッテナムのスタッフは、アヤックスと行われたチャンピオンズリーグ準決勝第1戦の時点で、決勝に進出した際にはバルデベーバス練習場と宿泊施設の提供について問い合わせを行ったと主張しています。また、バルデベーバス練習場はUEFAによって事前に指定された施設であり、UEFAによって指定された場所の使用や宿泊を希望するかしないかについての確認の問題であるにも関わらず、レアル・マドリーがそれを拒否できるのかという点にもポチェッティーノは疑問を感じているようでした。
レアル・マドリーの施設提供は2018年にサンティアゴ・ベルナベウで行われることになった、CONMEBOLコパ・リベルタドーレス決勝第2戦の際にアルゼンチンのリーベル・プレートに対して行われています。
この際には代替地開催を巡ってCONMEBOLとFIFAがUEFAに対して問い合わせを行った上で、最終的にRFEF(王立スペインサッカー連盟)とレアル・マドリーが代替開催地として立候補したと南米では報じられていました。
ポチェッティーノが言いたいのはリベルタドーレスの際には拒否しなかったのにUEFAチャンピオンズリーグではなぜ駄目なのかということでしょう。
ポチェッティーノ自身はレアル・マドリーの声明に対して個人的にこれ以上何か言うつもりはないとコメントしつつも、「あくまでも自クラブの選手が使用するプライベートな施設だ、というレアル・マドリーの主張には一理ある」とも発言しています。
いずれにしても監督としてはこれ以上立ち入る問題ではなく、あとのことはクラブ間での話し合いにまかせてあると言うポチェッティーノ。
実際に試合に望む選手や監督としては、こういった外野の余計な騒ぎは放っておいて試合に向けた準備と対策に集中したいというのが本心でしょう。
サッカーファンとしては6月1日の決勝が名勝負となることを祈るばかりです。