日本代表の予備リストに入っている香川
10月10日、15日に行われる2020年FIFAワールドカップ・カタールに向けたアジア地区二次予選のモンゴル戦(10月10日)とタジキスタン戦(10月15日)。
この2試合に招集される可能性がある日本代表の予備メンバーリストにサラゴサの香川真司が含まれていることが明らかになっています。
2019年3月26日以降は日本代表に招集されていない香川ですが、サラゴサに移籍してからのコンディションやプレー内容を判断されて予備リストに含められたと考えるのが妥当でしょう。
香川が代表に本招集された場合のサラゴサの懸念
香川本人としてはサラゴサでのプレー等が考慮されて実際にメンバー招集されたとすれば喜ばしいことですが、サラゴサとしては複雑な気持ちであり懸念が出ることも否定はできません。
最大3試合を欠場する可能性
まず第一の懸念は場合によっては香川が最大3試合を欠場する可能性があることです。
サラゴサの10月日程は
第10節 | 10月6日 | 対カディス(ホーム) |
第11節 | 10月13日 | 対ヌマンシア(アウェー) |
第6節(延期分) | 10月16日 | 対フエンラブラーダ(アウェー) |
となっていて、理論上は10月6日のカディス戦までは出場できるものの、代表の合宿日程などによっては例えば当日にスペインを出発する必要が出てくることもあり得るかもしれません。
カディスは第8節終了時点で勝ち点19の首位に立っており、第6節が延期され1試合少ないサラゴサとの勝ち点差は4。
ホーム、ラ・ロマレーダで行われるカディス戦に勝利し、なおかつ5位フエンラブラーダにアウェーで勝利できればヌマンシア戦の結果次第で自動昇格圏内の2位以内に順位を上げることも可能です。
FIFAが定める国際AマッチデーはセグンダAには適用されないため、10月8日〜16日に設定されている2019年10月の国際Aマッチデー期間中にリーグ戦が中断されることがありません。
3試合中2試合が首位、あるいは昇格圏内へのジャンプアップを狙える試合であることを考えるとサラゴサにとっては香川が本当に離脱することになるとしたら頭の痛い問題でしょう。
コンディション調整
もう一つの懸念は香川自身のコンディション調整に関するものでしょう。
第8節までを終えていて、開幕から先発に名を連ねてコンスタントに出場し、出場時間も徐々に伸びてきている香川ですが、本人も「まだまだコンディションがベストとは言えない」と度々記者会見やスペイン現地メディアの取材に答えています。
第10節 | 10月6日 | 対カディス(ホーム) |
第11節 | 10月13日 | 対ヌマンシア(アウェー) |
第6節(延期分) | 10月16日 | 対フエンラブラーダ(アウェー) |
この10月日程の中で、6日のカディス戦に出場したあとに日本代表に合流することになったとしたら13日と16日は確実にリーグ戦には出ることができず、移動と時差の影響があるとすれば体調の管理も課題になります。
厳しいトレーニングを日々行い強靭な肉体を持つプロ選手だとはいえ、頻繁な長時間移動と時差の問題はどの選手も100%避けることが難しい問題です。
ビクトル・フェルナンデス監督としても無理をしてすぐ試合に起用し、それが祟って長期離脱するような負傷を香川が負ってしまっては目も当てられないと考えるでしょうし、サラゴサというクラブとしても代表戦で負傷するようなことがないことを祈るばかり、ということになるのは想像に難くありません。
香川本人は9月26日に現地メディアから受けた取材に対して、
サラゴサでプレーすることに喜びを感じています。しかし自分自身がもっと示せるものがあると思っていますし、それをチームにも還元していきたい。ただフィジカルコンディションがまだ完璧ではなく、改善できる部分もまだ多くあるので、少し時間はかかるでしょう。
と、サラゴサ加入から約1ヶ月半が経過しているものの自身のベストコンディションにはまだ至っていないと語っています。
そんな中での代表予備リスト入りという状況について、香川本人はどう思っているのでしょうか。
予備リスト入りに関する香川のコメント
サラゴサの地元紙El Periodico de Aragonとスペイン最大のスポーツ紙MARCAの取材に対して、代表の件も含めて香川は次のようにコメントしています。
もし正式に代表に招集されることになれば、僕は間違いなく代表の試合に参加することになります。これは100%確実です。
でもまだどうなるか確実なことはわかっていませんし、今現在は代表のことよりもサラゴサのことしか考えていません。サラゴサのことに集中しています。
まだサラゴサに合流して1ヶ月ちょっとしかたっていませんし、僕のフィジカルコンディションもまだ万全とは言えない状態です。時間が経てばコンディションは改善していくでしょうし、そうなればチームに貢献できることも増えてきます。その点に関しては一歩一歩進んでいくしかありません。日々の練習を頑張るだけです。
チームの目標も僕個人の目標も、初日に言った”昇格”という点にあることは変わっていませんし、日々それは近づいていて素晴らしい結果を得られるだろうと僕は思っていますよ。
本招集されれば香川は当然代表に合流することを明確にコメントしており、同時にサラゴサの昇格と自身の調子をあげていくことに現時点では集中しているとも語っています。
香川としては「まだ予備リストに入っただけであり、呼ばれると決まったわけではない」ということを前提にしてコメントしていることがよくわかります。
当然自身は代表に呼ばれることも期待はしているのでしょうが、発表されるまではそれこそ何が起こるかわかりませんし、今の段階で香川本人があれこれと騒ぐことではないというのが本音なのかもしれません。
昨シーズン15位という成績に終わっているサラゴサは今シーズンを含めれば既に7シーズンをセグンダAで過ごしており、クラブとしてもファンとしても香川というスター選手を獲得できた今年こそプリメーラ・ディビシオンに復帰したいと心の底から願っていることでしょう。
香川個人の評価という点を考えても、昇格に多大な貢献をしたということになればもしかしたらスペイン国内でヨーロッパリーグ出場を視野に入れられるレベルのクラブへの移籍という可能性も見えてきます。
本人がどこまで考えているのかは当然外からはわかりませんが、可能性の一つとしてそういったことも考えられなくはないでしょう。
日本サッカー協会関係者と本人側との間で直接の話し合いが行われているかどうかはわかりませんが、予備リストに入っているということは代理人等を通じて何かしらの打ち合わせが行われていることは十分に考えられます。
コンディション調整や日程、クラブの状況などを考慮して次回に持ち越すのかそれとも今回のワールドカップ予選で現代表チームとのフィット感を確認することになるのか。
日本代表のメンバー発表まで、サラゴサと香川、そしてサラゴサファンにとって考えることは多そうです。