スペインの公用語って何語だと思いますか?
スペイン語の勉強に励む皆さん、こんにちは。スペイン語歴21年目になったチェマです。
スペイン語を勉強しようと思っている方。そして今勉強している方の中には色々な目的の方がいると思います。
スペインに行ってみたい
という方もいるでしょう。
中南米に行ってみたい
という方もいるはずです。
今回の記事はどちらかと言うと「スペインに行ってみたい」という方向けかもしれません。
とはいえ、スペイン語のみならず「語学」全般的な話でもあるので興味深い読み物だと思って読んで頂けたらいいなと思って書いています。
突然ですが、スペインという国の公用語は何語だと思いますか?
そんなのスペイン語に決まってるじゃん
と思う方がほとんどですよねw
僕も以前の記事のいくつかで「スペイン語の母国スペイン」というような書き方をしていますし、実際にスペインで話されるようになりそこから中南米に伝播したのがスペイン語です。
しかしスペインには他にも公用語があるのです。
スペイン語以外の3つの公用語
スペインにおける「国としての公用語」。つまり、スペイン国内であればどこに行っても通用する共通言語は確かにスペイン語であると定められています。
ですが中南米を含むスペイン語母語者やスペイン人達の間では、スペイン語のことを別の名称で言うことがあります。
それが「カステジャーノ=カスティージャ語」という名称です。
「カスティージャ」というのはスペイン中部の地域一帯を指す地域名で、「カスティージャ・ラ・マンチャ州=南部」と「カスティージャ・イ・レオン州=北部」の2つが存在します。
スペインの首都であるマドリーはちょうどこのカスティージャ・イ・レオン州とカスティージャ・ラ・マンチャ州に挟まれる形になっており、大きな枠で厳密に言うとマドリーもカスティージャ地方に含まれることにはなるのですが、行政区分上は「マドリー州・マドリー県・マドリー市」という形になっています。
歴史の話になってしまうので細かい経緯は別の機会に記事にしたいと思いますが、端的に言うと現在のスペイン語であるカステジャーノはこのカスティージャ地方で元々話されていた言語です。
勘の良い方は
じゃあ、他の地方にも昔はその地方の言語があったの?
と思ったかもしれません。
その通りなんです。というか、今でもいくつかの地方・州にはその地方独自の言語が存在します。
それが
- ガリシア語=ガジェーゴ
- カタルーニャ語(バレンシア語)=カタラン(バレンシアーノ)
- バスク語=エウスケラ
の3言語です。
ガリシア語はスペイン北西部ガリシア州の言語。ガリシア州の州公用語。
カタルーニャ語(バレンシア語)はスペイン南東部のカタルーニャ州、バレンシア州、そして地中海のバレアレス州の言語。カタルーニャ州とバレンシア州、バレアレス州の州公用語。
バスク語はスペイン北東部のバスク州、ナバーラ州の言語。バスク州、ナバーラ州の州公用語。
同じスペイン国内に住むスペイン人であっても、ひと目で違いがわかるほどこれら3つの言語はカステジャーノとは異なっています。
例えばガリシア語ではカステジャーノでは滅多に見られない「X」に母音を付けた「シャ行」の単語が多く見られます。
カタルーニャ語でもカステジャーノの単語には無い「iu」で終わる単語が多く、バスク語に至ってはカステジャーノにもガリシア語にもカタルーニャ語にも似ていません。
バスク語は「孤立言語」と呼ばれるほど類似言語の無い言語で、文法から単語の綴りに至るまでありとあらゆるものがスペインで話されるどの言語とも異なっていることで知られています。
地方テレビ局は各言語で放送
スペインも日本と同様にテレビ局やラジオ局は「全国ネット局」と「地方ローカル局」の2種類があります。
そして各州ごとのローカルテレビ局のうち、次のテレビ局はそれぞれの州公用語で放送されているのです。
- ガリシア州:TVG=ガリシア語のみで放送
- カタルーニャ州:TV3=カタルーニャ語のみで放送
- バスク州:ETB=バスク語のみで放送
TVGとTV3は慣れてくれば何とか内容はわかるのですが、ETBだけはさっぱりわかりません。ETBは何しろ字幕も読めないほど完全にバスク語の放送なので、ニュースのヘッドラインどころか場合によってはサッカー中継のチーム名表記や選手名表記すら読めないことが多々あります。
地方ごとの言語の違い、国ごとの言い回しの違いも楽しみの1つ
いかがでしたか?
今回はスペイン国内の公用語に複数の種類があるということを紹介しました。
中南米の場合だとさすがに言語が違うということはありませんが、それでも各国ごとに言い方や言い回しが異なる単語やフレーズ、そして単語は同じなのに意味が変わるものもあったりします。
これだけを聞いてしまうと
全部覚えないといけないの・・・?
と思ってしまうかもしれませんが安心してください、そんなことはないですw
自分が覚えやすい型でスペイン語を身につけていけば何も問題ありませんし、「カステジャーノ」は全スペイン語圏の共通語です。各国独特の言い回しがあったとしても、自分が身につけた単語やフレーズで話していれば相手はちゃんと理解してくれます。
今回の記事で書いたようなことを知っておくだけでもネイティブの人と知り合った時に話題の1つにできるかもしれませんし、知識として知っておくだけでもきっと損はしないと僕は思っています。
大切なのはスペイン語=カステジャーノをまずは習得することですからね。
今回ご紹介したスペインの州公用語3言語と、中南米の様々な言い回しについてはまた別の機会に記事にしたいと思っています。
どうぞお楽しみに!
それでは、また。