【ウエスカ】日本代表FW岡崎慎司、紆余曲折を経た末にウエスカ加入

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マラガとの契約を解除していた岡崎がウエスカに加入

日本代表FW岡崎慎司がラ・リーガ・スマートバンク=セグンダ・ディビシオンAのソシエダー・デポルティーバ・ウエスカに加入しました。

イングランドのレスター・シティを契約満了となった後、2019−2020シーズン開幕前に同じくセグンダAのマラガに1年契約で加入していた岡崎でしたがサラリーキャップ制度の上限に抵触していたマラガは岡崎を選手登録することができず、つい先日双方合意の上で岡崎とマラガは契約を解除。

改めてフリーの状態になっていた岡崎にウエスカが獲得の意思を示した格好です。

ウエスカと岡崎との契約は1年契約ですが、「1年間の契約延長オプション付き」と正式に発表されています。

ウエスカというクラブ

ソシエダー・デポルティーバ・ウエスカはスペイン王国アラゴン州ウエスカ県ウエスカ市をホームタウンとするクラブです。

アラゴン州には同じくセグンダAでプレーし、8月に日本代表MF香川真司が移籍したレアル・サラゴサのホームタウンであるサラゴサがあり、ウエスカとサラゴサは約80kmの距離にあり車で約1時間程度しか離れていません。

ウエスカ対サラゴサの試合はいわゆる「地域ダービー」にあたるアラゴンダービーということになりますが、ウエスカがクラブとしての活動のほとんどをセグンダA以下のカテゴリーで戦ってきたのに対し、サラゴサは対称的にプリメーラ・ディビシオンを主戦場としていました。

そのため両チームが公の場で真剣勝負を繰り広げた歴史が浅いので、例えばセルタが戦うガリシアダービーやセビージャとベティスのセビージャダービー、レアル・マドリーとバルサのエル・クラシコのような激しいライバル関係にあるかというと、その点はあまり深く考えられていないようです。

SDウエスカの歴史

厳密に言うと岡崎が加入した現在のSDウエスカは1960年に創設された、スペインでは比較的新しいクラブです。

ウエスカの町には1910年にウエスカ・クルブ・デ・フッボル(ウエスカCF)が誕生しましたが、全国プロリーグであるリーガ・エスパニョーラが創設される前の1926年に解散しています。

その後1929年にクルブ・デポルティーボ・ウエスカ(CDウエスカ)が創設され、この時のクラブ創設メンバーの多くが隣接するカタルーニャ州のクラブであるFCバルセローナのファンであったことから、クラブカラーをバルサと同じ「エンジと青」=ブラウ・グラーナに決めたと言われています。

1940年にクラブ名がウニオン・デポルティーバ・ウエスカ(UDウエスカ)と変更されていましたが、UDウエスカも財政難を理由に1956年に消滅。

その後1960年3月31日にウエスカCF−CDウエスカ−UDウエスカの流れをくんだソシエダー・デポルティーバ・ウエスカ、現在のSDウエスカが誕生。

地域リーグであるリーガ・レヒオナーレスから活動をスタートしたSDウエスカは初年度に現在の実質的な4部リーグにあたるテルセーラ・ディビシオンに昇格。

2007−2008シーズンまではテルセーラとセグンダBを行ったり来たりする成績が続いていましたが、2008−2009シーズンにレンタルで加入したルベン・カストロの活躍をきっかけに成績が上向きはじめ、2018−2019シーズンにクラブ史上初めてプリメーラ・ディビシオンに昇格。

1シーズンで降格はしてしまったものの、元ラージョ・バジェカーノで選手・監督として活躍したミチェル・サンチェスを監督に迎え、再度プリメーラへ昇格するために準備を整えている最中です。

岡崎の獲得を報じるMARCAの記事

スペイン最大のスポーツ紙MARCAも岡崎のウエスカ加入を報じており、記事の冒頭でMARCAは

(監督の)ミチェルはベンチに添える「最後のチェリー」を手に入れた。

と書いています。

「最後のチェリー」とはケーキの上に乗せるいちごやチェリーのことを指していて、スペインではお菓子や菓子パン、ケーキなどの上にチェリーを乗せることが多いためこのようなフレーズが使われます。

MARCAの記事によるとウエスカ経営陣はマラガと岡崎を巡る状況について数週間前から把握・注目しており、マラガのサラリーキャップ問題が解決せずに岡崎が契約解除となった場合は移籍市場が閉まってからでもウエスカへの加入とリーグ戦への選手登録が可能であることを確認済みだったようです。

もしこの報道が真実だとすればウエスカの現経営陣はスタッフも含めてリサーチ力に優れているなという印象を僕は受けます。

逆に言えばマラガの会長アル・タニ以外の現経営陣の見通しの甘さがウエスカの動きがあったことによってより顕著になってしまったわけですが、うがった見方をしてしまえばっこの見通しの甘さやリサーチの甘さは岡崎の代理人にも言えるのではないかと僕は考えます。

おそらくはアル・タニ会長を除くマラガ経営陣には「なんとかなるだろうし、なんとかできるだろう」という楽観的な考え方がベースにあったのだろうと思いますが、アル・タニの傍若無人ぶりは数年前から明らかになっていました。

そのような状況が続いている状況で「普通に」物事が進むだろうと考えて契約条件や加入についての交渉を進めてしまったのは、選手個人というよりも代理人側のミスでもあると考えられるのではないかと僕は思うのです。

MARCAの記事でもマラガの経営状況に関してはシンプル且つ的確に状況が報じられており、しかもマラガの状況は昨日今日始まった話ではありません。

記事の最後でMARCAは

岡崎とマラガの間にはある合意があり、仮にマラガが今シーズン終了後にプリメーラ昇格を成し遂げた場合に限り、ウエスカは岡崎がラ・ロサレーダ(マラガのホームスタジアム)へ戻ることを認める内容になっている。

と報じています。

ウエスかと岡崎の契約が「1年契約+1年延長オプション」となっているのはこの合意があるからだというのがMARCAの主張ですが、果たしてこれが真実なのかどうかはマラガのリーグ戦成績が確定してからはっきりわかることになるでしょう。

ある意味で「因縁の対決」となるウエスカとマラガの対戦は10月6日の第10節。ウエスカのホームスタジアムであるエスタディオ・エル・アルコラスで行われます。

そして注目の「日本人対決」となるウエスカ対サラゴサの一戦は12月22日の第21節。サラゴサホームのサラゴサ対ウエスカは4月12日の第36節に行われる予定です。

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