セビージャでの「第二期」をスタートしたモンチ
1999年の現役引退後、2000年に32歳の若さでセビージャのスポーツディレクターに就任した”モンチ”ことラモン・ロドリゲス・ベルデーホ。
2017年まで17年間に渡りセビージャの強化部門を取り仕切り、「安く買って高く売る」という理想的なサイクルを確立。2005−2006、2006−2007シーズンのUEFAカップ連覇。2013−2014、2014−2015、2015−2016シーズンのヨーロッパリーグ3連覇を成し遂げるなど結果も合わせて出してきたモンチ。
2017−2018シーズンからはローマのスポーツディレクターを勤めていましたが2019年にセビージャへ復帰。わずか2年間で古巣へ舞い戻り、再びセビージャのスポーツディレクターとして辣腕を振るおうとしています。
シーズン途中でのセビージャ復帰だったため、このオフシーズンがスポーツディレクター「第二期」として初仕事となるモンチ。元スペイン代表監督ユレン・ロペテギを新監督の有力候補としているという報道により、一部のファンからは批判も沸き起こっているようですが、本人は気にしていないようです。
Twitterで静かに自分の実績をアピールしたモンチ
セビージャのBチームであるセビージャ・アトレティコからの現役時代から合わせれば29年間をセビージャで過ごしたモンチ。もはやモンチ以上にセビージャの運営に関する内情を知るものはいないという状態に等しいと言えるでしょう。
2年間をセビージャの外で過ごすことになったとはいえ、復帰のスムーズさを見ればセビージャと常に連絡と取り合っっていたことは確実。となれば、「空白の2年」というほどの話でもないと想像できます。
モンチ自身がセビージャ復帰の際の記者会見で「セビージャを外から見ることでよりセビージャというクラブを深く理解することができた」と語っています。つまり、一度冷静に第三者的視点でクラブを外から見る必要があったとモンチ自身が感じていたことを匂わせています。
ということはセビージャを離れていた2年の間に理解できたことを2019−2020シーズンから表現していくことは容易に想像でき、それが何なのかが気になるところです。
そんなモンチはここ1〜2週間で知られることになった、元スペイン代表監督ユレン・ロペテギのセビージャ新監督就任の噂に対するファンの反応に対し、現地時間5月31日にそっとTwitterを更新。
Buen día para recordarlo….. pero no para pararnos y conformarnos, sino para que nos sirva de motivación para revivirlo #SFC #ilusion #trabajo pic.twitter.com/SUiFwKTy1e
— Monchi (@leonsfdo) 2019年5月31日
こういったことを思い出すにはとてもいい日だ。・・・しかし、立ち止まったり満足するための一日ではなく、モチベーションを上げ、再びこれらを手にするため、という意味だ。
チャンピオンズリーグでの実績ほど多く語られることはありませんが、UEFAカップ時代から数えても、「5回」という優勝回数はUEFAカップ−ヨーロッパリーグ通算で歴代トップです。
このモンチのツイートの通り、セビージャに次いで優勝回数が多いのはアトレティコ・マドリー、ユヴェントス、インテル、リヴァプールの各3回ずつ。そしてセビージャの優勝は全てモンチ時代のもので、モンチが不在の2年間はセビージャがタイトルを手にすることはありませんでした。
これはファンからの反応に対して直接個人名や事象の説明を取り上げずに「この通り、私は自分のやり方で結果を残しているのだ」という半ば無言の切り返しであるとも取れるツイートではないでしょうか。
オフシーズンの移籍に関する報道は、真実よりも噂のほうが多いということはサッカーファンなら誰しも理解していることです。正式にクラブから発表されるその瞬間まで、何十、何百という噂が世間を駆け巡りどれが本当でどれが噂なのかを正確に見極めることは困難です。
例えばロペテギが最終リストに残っているというここ数日の報道も実は何かの仕込みなのかもしれまえんし、あるいは真実なのかもしれません。実際にセビージャの新監督候補者は他にも数人いると伝えられています。
ただ個人的に、ロペテギがセビージャを指揮することになったらどうなるのかが見てみたいという気はします。これまでの記事で書いた通り、僕は決してロペテギが悪い監督だとは思っていません。ワールドカップ予選無敗という結果も残していますし、バスク人らしい堅実なチーム作りをしていたという印象も持っています。
実力はあるものの性格に難があり扱いにくいと言われたホセ・アントニオ・レジェスをインターナショナルレベルの選手にまで育て上げ、内向的すぎて代表の合宿にすら行きたがらなかったヘスス・ナバスを2010年ワールドカップ優勝メンバーにまで高め上げたモンチ。
そのモンチであれば、もしかしたらロペテギとタッグを組むことでロペテギの別の一面を引き出し、「名将」と呼ばれるレベルにまで引き上げられるのではないか、とすら僕は思ったりもするのです。
改めて始まる「モンチのセビージャ」がどうなっていくのか?
伝統ある名門クラブではあるものの、国内外の選手が憧れるビッグクラブという位置づけとは言い切れないセビージャ。そのセビージャに、ある意味独自のオリジナリティ溢れるメソッドを植え付けたモンチが彼自身の「セビージャ第二期」においてどんなスタートを切るのか。
僕は今からそれがとても楽しみなのです。