スペイン語の独学初心者に必要な4つのステップ
「スペイン語に興味がある」
「スペイン語の勉強を始めた」
「スペイン語を勉強してみようかな」
という皆さん、こんにちは。スペイン語話者歴22年目を迎えたチェマです。
この記事では「これからスペイン語の勉強を進めていく」段階にある方々向けに、独学・独習をする際のステップをご紹介しようと思います。
この記事で紹介するやり方は恐らくどの言語を勉強する際にも使える手法ですし、独学かそうでないかに関わらず使える手法です。
独学で勉強している方も、大学や語学学校で勉強している方でも有効なやり方なので試してみてください。
【1】読む&発音する
まず読みましょう。
そして口に出してみましょう。
読むだけでも悪くはありませんが、口に出すことによって自分が発音したものが自分の耳に入ります。
「読む」に関しては闇雲に文章を読むのではなく、教科書や参考書などで発音を調べてあることを前提にしましょう。
間違ったor勘違いした発音で口に出し続けていると癖がついてしまい、なかなか治りません。最初から完璧な発音である必要はありませんが、「発音が正しいかどうか」を怖がって口に出さないのは学習のスピードが遅くなる原因の一つになってしまいます。
「たぶんこうだろう」ぐらいの軽い気持ちでいいので、とにかく口に出して発音しながら読みましょう。
そうすることで、口も耳も頭も「スペイン語の発音」や「スペイン語の音」「スペイン語の読み方」に徐々に慣れてきます。
すぐに完璧な発音になる必要はありません。
スペイン語の読み方や発音に慣れるだけでも、恐らく3ヶ月〜6ヶ月はかかるはずです。
まずは「自分がスペイン語を口に出す」「スペイン語の文章を読む」ということに体を慣らすことが大切です。
スペイン語の勉強を始めた時点で、あなたの「スペイン語年齢」はゼロ歳児。
常識的に考えて日本人のゼロ歳児だって生まれた直後は言葉が話せませんし発音すらできません。泣くか「あうあう」程度の音を出せる程度です。
スペイン語始めたてのあなたは「スペイン語の世界におけるゼロ歳児」だと思って開き直っていて全く問題ないです。
何を読めば良いのかわからない時は?
世の中にはスペイン語だけでなく、様々な語学があります。
勉強する際に「おすすめのリーディング教本」みたいなものもあちこちで目にすることができますが、正直に言って何を読むかはあなたの自由です。
僕のようにサッカーが好きならサッカーの記事でもいいし、音楽が好きなら音楽の記事でもいい。
映画好きなら映画の記事。芸術が好きなら芸術の記事を読みましょう。
つまり「自分が好きなジャンル、興味がある物事の文章」を読んだほうがいいです。
サッカーに興味がない人にサッカーの記事を読ませても頭に入りませんし、音楽を聞かない人が音楽の記事を読んでも記憶に残りません。
「好きなジャンルの文章を読む」ことで、読み進めることに抵抗がなくなり、意味を知りたくなり、わかれば内容が頭に残ります。
口に出しながら読むことで頭にその発音も残ることになります。
例えばあなたが社会人だとしたら、時間がなくて辞書を使って単語まで調べる余裕がないということもあるかもしれません。それでも全然問題ありません。
それでもいいんです。読んで、口に出して発音しているだけであなたのスペイン語学習は半歩か1歩、確実に前進していると信じてください。
【2】聞く
読む&口に出すことに慣れてきた、と少しでも思ったら、次は「聞く」ことに慣れていきましょう。
市販の参考書や教科書には音声ファイルが付属していることもありますから最初はその程度でも十分です。
もし何か物足りないと感じたり、「これだけでいいのかな?」と思うようであれば、現代なら最高の音声教材が無料でいつでも手に入ります。
それがYou Tubeやネットラジオ、そしてスマホのラジオアプリです。
自分の興味があるジャンル名などをYou Tubeで検索してみましょう。その事柄について語っている動画が山のように出てきます。
もちろん意味がわからなくてもいいですし、画面をずっと見ている必要もありません。何かしながら音声だけを聞いてそのまま垂れ流しておくだけでもいいですし、それで何を言っているのかわからなくても何も問題ないです。
この段階で必要なのはただ単純に「ネイティブがスペイン語を喋っている音やリズムを自分の耳で聞く」という体験です。
日本人同士で話していても話し方に特徴があって初対面では何を言っているか聞き取りづらいことがありますよね?
母国語ではないスペイン語を独学しているわけですから、最初はなんと言っているのかわからないのが「当たり前」です。安心してください。今ペラペラとスペイン語を話している人たちも、あなたが手にとって使っている参考書を書いた著名な教授たちも、スペイン語の学習を始めた時にはあなたと全く同じ状態でした。もちろん僕だってそうです。
この「聞く」という行為を続けることによって、「他人が話すスペイン語」の発音に耳が慣れていきます。You Tubeならできるだけ異なる人がアップロードしている複数の動画を見聞きすることが大切です。複数人で会話しているような動画ならなおいいでしょう。
ネットラジオやラジオのスマホアプリで「ながら聞き」するのも非常に有効なやり方です。
スペイン語圏のラジオ番組は討論番組や複数人が会話・対話する形式で放送していることが多いので、垂れ流しているだけで複数人がスペイン語で会話している様子を聞くことができ、様々な発音の違いや癖を自然に耳にすることができます。
ブラウザで聞くことのできるスペインのラジオ局
Cadena Ser
Onda Cero
Cadena Cope
上記はスペインの大手ラジオ局3社です。
トップページに「Escuchar=視聴する」や「En Directo=生放送」などの単語や再生ボタンがあるので、そこをクリックすれば視聴することができます。聴くのをやめるときはブラウザ本体を閉じたり、開いているタブを閉じればOKです。
スペイン語のラジオアプリ
iOS向け
TuneIn
Android向け
TuneIn Radio
iOS向けとAndroid向け双方でリリースされている「TuneIn」というラジオアプリです。
一つのアプリの中から聴きたい放送局を選んで聴けるので、後々スペイン語が上達してからも重宝するアプリです。音楽特化の放送局もあるので、スペイン語圏のミュージックシーンを知りたい人はヒットチャートを知ることもできるでしょう。
スペイン語初心者の場合はあまり深く考えずにとにかく「今自分がスペイン語を耳にしている」という環境を作り、その場にいるだけでOKです。
聴いている内容の意味などは上達してくれば気になるようになりますし、気になって調べたり注意深く聴くようになることで理解できる部分が増え、更に上達のスピードが上がります。
【3】書く
次は「手を動かして」みましょう。
口を動かして発音したりスペイン語を実際に聴いて耳を慣れさせるのと同じように、実際に手を動かして書いてみることもとても大切です。
では、何を書けばいいのでしょうか?
乱暴な言い方をしてしまえば「なんでもいい」です。
とはいえ、独学かつ初心者の頃は「なんでもいい」の「”なんでも”が何かわからない」ということが多いと思います。
いくつか例を挙げますのでこの中から選んでやってみてください。
- 市販の単語帳を使い、日本語→スペイン語の順で読んでから単語を書く
- 参考書や文法書の中に書いてある例文を書き写す
- 興味のあるジャンルの文章(新聞サイト、Twitterのツイート、雑誌or本などの文章)を書き写す
「ただ書き写しているだけじゃないか」と思う方もいるかもしれません。
が、初心者のうちはそれで全く問題ないです。
なぜか?
スペイン語を独学で初心者として勉強し始めて数日、数週間で自分が言いたいことを正確に完璧に言ったり書いたりできると思いますか?
できませんよね。少なくとも僕は無理でした。
最初のうちは動詞の原形ですら覚えたり思い出すので一苦労するはずです。僕はそうでした。
読んで口に出して発音するだけでもずっと続けていれば単語や動詞は覚えられると思いますが、そこに「書く」という手を動かす動作を加えることによって、書きながら目で追い、読み、頭の中で書き写している文章を反芻することになります。
この時に書きながら、もしくは書いた後に口に出して発音しながら読んでみるのもとても有効です。
ステップ【1】〜【3】までの動作を全てまとめて同時に行うことができて一石三鳥だからです。
「年を取ってからコントローラーを使うようなゲームをしたり、手を動かす動作を多くしている人はボケにくい」
と言われたりすることがあるように、手と脳は繋がっています。
手を動かすことによって脳に刺激が行き、手の動きと連動して脳が記憶することにもなりますから、スペイン語の単語や動詞、言い回しなどを覚えるためにも「書く」という動作はとても大切だと覚えておいてください。
【4】話す
言うまでもなく、ある言語の習得にあたって「話す」という「実技」「実践」を行うのは大切です。
暗記したり書いたり読んだりすることよりも大切です。
スペイン語は言語=言葉です。
ただの知識として学習するだけなら話す必要はないと思いますが、初心者からスペイン語を独学しようと考える方の多くは「いつか話せるようになりたい」であったり、「スペインに旅行したときに使えるようになっておきたい」という願望を持っていると思います。
このような願望やモチベーションを持つことは非常に重要で、これらを持っておいたほうが「話す目的」を失わないことになるので「話すきっかけ」にも出会いやすくなると思います。
ちなみに僕がスペイン語の学習中にモチベーションにしていたのは、「サッカー観戦の時に現地のファンと話したい」「スペインの新聞を読めるようになりたい」「観戦チケットを自分で買えるようになりたい」という自分自身の欲求でした。
正直言うと、このような願望やモチベーションの種類は何でもいいと思います。
「スペイン語圏の女性と知り合いたい」とか、「ラテン男性と付き合いたい」とか、そんなものでも何でも良いです。
大切なのは「なぜ自分がスペイン語を勉強しているのか。どうして話せるようになりたいのか」という当初の目的を忘れず、少しずつでも実現させるように動くことです。
「話すといったってスペイン語圏の知り合いもいないし、どこで話せばいいの?」
と思うでしょう。
例えばFacebookにはこんなコミュニティーがあります。
また、東京では他にもこんなイベントが開催されています。
日本に住み日本語を上達させたいor日本人の知り合いが欲しい(であろう)スペイン語圏の人達と、スペイン語を勉強していて上達させたいor会話の機会を持ちたい日本人の人達が交流するイベントコミュニティーです。
もちろん上記のコミュニティーやイベントだけではなく、Facebookには日本在住のスペイン語圏ネイティブが日本国内や日本語の言い回しについて情報共有をしているグループがあり、日本人の方も参加しています。いくつかのグループでは定期的にBBQやパーティーなども企画されているようです。
このようなグループやコミュニティー、イベントに積極的に参加することによって、実際に対面してスペイン語を使うチャンスを持つことができます。
東京にはスペイン国営の語学学校である「セルバンテス文化センター」の日本校があります。
講演会なども定期的に開催されているようなので、そこに参加して講演者の方に話しかけるチャンスがあれば試してみてもいいかもしれませんし、もしかしたら交流会のようなイベントも開催されるかもしれません。
僕がスペイン語の学習をしていた頃はFacebookもTwitterもインスタグラムもなにもない時代でした。
僕の場合は東京都内在住だったため、都内のスペイン料理店に片っ端から通い、さり気なくネイティブっぽい人達の隣のテーブルに座って様子を見て、話しかけられそうな雰囲気なら一言二言挨拶してみる。
外国人が夜遊びしそうな六本木のバーやクラブなどを巡ってラテン系の店があればそこで粘って会話のチャンスを伺う。
そんなことを夜な夜な繰り返していました。
当たり前ですが、話しかけても無視されたりさらっと逃げられたりすることも一度や二度ではありませんでしたが、ある意味このような無遠慮で相手の都合を考えない行動を続けていたことによって、スペインに留学した時に発揮できた度胸のようなものは身についたのではないか、と勝手に都合よく解釈しています。
「話す」というステップまで辿り着くのにかかる時間は、個人により差が出ます。
ステップ【1】〜【3】の最中にさっさとステップ【4】の「話す」まで一足飛びに辿り着く人もいるでしょうし、「話す」機会を得ようと行動するまでに悩んだり考えたりして数ヶ月、数年かかる人もいるかもしれません。
スペイン語を上達させたいなら「話す」体験を持つことは絶対に必要ですが、期限を決める必要はないと思います。
自分なりに「今ならいける」と思える瞬間が来てからその機会を探し始めても遅くないです。
おすすめ(かもしれない)参考書や辞書
これから、あるいはいつかスペイン語の勉強をしてみたいという方向けにいくつかおすすめの参考書をご紹介しておきます。
単語帳は好みがあるので、できれば書店などで実際に手にとって確かめるのがいいと思いますが、辞書と文法書に関しては「鉄板」のものがあるので、以下に挙げるもののうちいくつかを購入しておいて損はないです。
ちなみに僕は西和辞典を2冊と和西辞典を1冊、の計3冊。文法書はここで紹介するものを1冊持っています。
辞書
【白水社:現代スペイン語辞典】
また、英語と類似しているものの意味が異なる単語には解説がなされ、なおかつ重要な単語の英語における対応語があったりと初心者でも理解しやすく覚えやすくなるような工夫がなされている辞書です。
【物書堂:西和中辞典・ポケプロ和西辞典】
正直言って、和西辞典はこれ一択だと思います。
文法書
初心者のスペイン語独学は根気と継続が大切
初心者としてスペイン語を独学しようとする場合の勉強方法は以上です。
大学や語学学校などで勉強する場合はカリキュラムや時間割があるのである程度強制的に学習を進めることができますが、独学の場合は進め方が難しい、時間のとり方がわからない、などなどの悩みもあると思います。
大切なのは毎日5分でも10分でもスペイン語に触れる時間を確保することです。
自分の状況や使える時間のバランスを見ながら、自分に合った最適なペースで根気よく継続的に学習を続けていくことが、少しずつでもスペイン語を上達させるコツです。
読む、書く、聞く、という基本を抑えて「スペイン語脳」のベースを作り、「話す」という最終ステップにたどり着いた時にはきっと今までとは違った達成感も得られるはずだと思います。
諦めずに学習を続け、いつかネイティブとスペイン語で話す時を想像しながら頑張っていきましょう!