負傷者続出で開幕を迎えるセルタ・デ・ビーゴ
セルタ・デ・ビーゴのフラン・エスクリバ監督は負傷者が続出している現在の状況について
「我々には選手が足りていない」
と切実な状況にある心境を吐露しています。
トルコ代表MFオカイ・ヨクスル、スペイン人FWサンティ・ミナという主力級の2名が負傷により開幕に間に合わないことが決定的となっており、中盤のセントラルMFの組み合わせが未だに確定できていない状況もさることながら、スペイン代表FWイアゴ・アスパスと組み前線の中核として期待とともにビーゴへ帰還してきたサンティ・ミナの負傷はファンにとっても想定外の事態でした。
特にミナはプレシーズンマッチでも状態がよく、調子が上向きになっていることが明らかに見て取れていたため、いちセルタファンとしては彼が開幕戦に間に合わないことが残念でなりません。
開幕のFWは消去法的に確定
サンティ・ミナが右足首の負傷で約3週間の離脱が決まってしまったことにより、結果的には開幕戦に臨むセルタのFW2枚はイアゴ・アスパスとウルグアイ人FWガブリエル・”トロ”・フェルナンデスが務めることが確定しています。
トロ・フェルナンデスは2018年12月に自身が起こしたひき逃げ事故裁判の最終審理のためにウルグアイに帰国していましたが、先日10日ぶりにチームへ合流。
全体練習にも復帰しておりコンディション調整に努めています。
もともと身体能力には定評がある選手であるため、コンディションさせ整えば実力を発揮できるのではないかと思われますが、問題は裁判の問題が心理的に尾を引いているかどうかでしょう。
ウルグアイのニュースを見ている限り、いいのか悪いのかあまり気にした様子も見えないのが逆に気になりますが・・・。
スタメンのFWは上記の通り確保はされているものの、果たして控えのメンバーがどうなるのかという点が最も問題になる部分です。
現在のようなケースを考えた上で、セルタはセビージャのスペイン人FWノリートを獲得しようと目論んでいましたが、契約が1年残っているにも関わらず移籍金なしでの獲得をセビージャに打診するという無茶な要求のせいかどうか、交渉は全く進展の気配を見せておらず、挙句の果てにプレシーズンマッチでノリートはゴールを上げて好調をアピールする始末。
これによってセビージャとしてはますます移籍金なしで放出理由無しと判断しており、個人的には移籍金を払わない限りノリートのセルタ復帰はあり得ないのではないかと思っています。
ノリート本人はセルタ復帰を望んでいるようですが、最終的に放出の可否を判断するのはセビージャであり、スポーツディレクターのモンチになることは明らかであり、上記のような状況の中でモンチが簡単に首を縦に振るような判断をするとも思えません。
セントラルMFの組み合わせ
フラン・エスクリバ監督にとっての悩みの種になっているのがセントラルMFの組み合わせです。
オカイ・ヨクスルの負傷でスロヴァキア代表MFスタニスラフ・ロボツカと組ませるべきセントラルMFは誰になるのかという課題がプレシーズンの間中語られてきていますが、結局現在に至るまでチームとしての最適解は導き出されないままです。
例えばフラン・ベルトランやホサベ・サンチェスの2名は実力伯仲であり、両名とも悪い選手ではありません。
しかしただ「いい選手」であることが現在のセルタにおいて必要とされているわけではなく、そこには決定的な条件が一つあります。
それが「デニス・スアレスをサポートできる」という条件です。
デニス・スアレスにボールを供給する役割という意味でもそうですが、何よりも必要とされるのは「デニス・スアレスにディフェンスの労力をかけさせない能力」を持っているかどうかという点です。
デニス・スアレスはプレシーズンマッチで十分すぎるほど示した通り、前でプレーすればするほどチャンスを作れる選手です。
その意味ではデニス・スアレスが負傷で離脱するようなことになればそれこそセルタにとっては緊急事態になってしまったことを意味するわけですが、そうならないためにはできるだけデニス・スアレスのコンディションを良く保ち、ボディコンタクトを避けられるようなポジション、極力相手からチェックを受けないようなプレーができるためのサポートが必要とされます。
そのために必要なのは「簡単にボールを失わず」「ボディコンタクトに強く」「的確にボールキープができ」「ビルドアップ能力が高い」「守備力にも優れた」セントラルMFです。
こんな選手がいたらどこのチームでも欲しがるのは当たり前なのですが、デニス・スアレスという際立った選手をセルタで活かそうと思えばどうしても理想的なセントラルMFが必要になってしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
ともかく、少なくとも今のセルタに本職のセントラルMFで上記の理想的な条件を満たす選手は残念ながらいません。
フラン・ベルトランもホサベ・サンチェスもプレシーズンマッチでは意外なところでボールを失う場面が目につき、ボールキープをできても前線へのボール供給に関してもややタイミングが遅い場面が目立ちました。
結果的にフラン・エスクリバ監督はバレンシアからレンタルで獲得してきたホルヘ・サエンスをセントラルMFで試すということまで行っているわけですが、果たしてこの判断が吉と出るのかどうかもシーズンが始まってみなければなんとも言えません。
センターバックの組み合わせ
ホルヘ・サエンスをセントラルMFで起用するということは、センターバックの組み合わせがその分だけ減るということも同時に意味します。
現在セルタのセンターバック陣はメキシコ代表DFネストル・アラウホ、スペイン人DFダビ・コスタス、ガーナ代表DFジョセフ・アイドゥー、そしてホルヘ・サエンスの4名ですが、アラウホとアイドゥーはそれぞれゴールドカップ(北中米)、カップ・オブ・ネーションズ(アフリカ)という大陸別選手権に参加していた影響で全体練習への合流が遅れていました。
エスクリバ監督としては彼ら二名の不在期間にホルヘ・サエンスを試すことができ、なおかつダビ・コスタスには依然として若干危ういところがあるということ確認できたことが収穫だったはずですが、一方でベストなコンビが誰なのかということを見極めるだけの時間はありませんでした。
コスタスにやや不安定なところがあるのは否めませんが「ひどい」センターバックというわけではありません。
ただしアラウホはともかくアイドゥーと組ませたときにコスタスがどのように安定するのかしないのかは全くの未知数であり、もしサエンスをセントラルMFで起用せざるを得ない判断を取ることになれば、セルタはセンターバックの部分にも不安を抱えながらシーズン序盤を戦うことになってしまいます。
レアル・マドリー、バレンシア、セビージャと続く開幕の3試合は特に重要な3試合であることは間違いなく、ここでいくつ勝ち点を拾えるかが前半戦の鍵を握る可能性すら考えられるでしょう。
手にした選手の実力ははっきりしているだけに、一日も早く負傷している選手たちが復帰しベストな布陣を確定させられることを祈るばかりですが、その日はまだ少し先になりそうです。
現地時間8月17日17時にキックオフされる開幕のレアル・マドリー戦。
セルタのスタメンにはどのような面々が並ぶことになるのでしょうか。
開幕まであと4日です。