【セルタ】年間チケット購入者への対応を発表。

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年間チケット購入者への対応

新型コロナウィルスへの対応策として中断されていたリーグ戦が、6月11日から再開されるラ・リーガ・サンタンデール2019−2020シーズン。

7月19日までのわずか1ヶ月半を切る日程で残りの11試合を消化するという、ある意味で前代未聞のスケジュールになっています。

試合の開催日程もさることながら、注目されているのはスペイン語で「Abonado(アボナード)」と呼ばれる、年間チケット購入者へのクラブ側の対応です。

スペイン時間6月4日、セルタ・デ・ビーゴはクラブ公式ウェブサイトにおいて、返金以外の対応を発表。

Los abonados del RC Celta podrán gestionar la devolución, renuncia o canje de la parte proporcional de su abono - RC Celta
ElRCCeltafueunodelosprimerosclubesdelaLigaencomunicarasusabonadosqueencasodequenosedisputasenonopudiesenasistiralospartidosrestantesparalaconclusióndelcampeonat...

ガリシア州の大手地方紙La Voz de Galiciaも、セルタが無観客開催分のチケット代金返金以外の方法を2種類発表したと報じています。

El Celta da tres opciones a sus abonados para la devolución por los partidos sin público
Losqueoptenporunadeesas posibilidades,elmonederovirtual,tendránpreferenciasisedisputanpartidosconafororeducido

返金以外の対応(1):社会貢献を目的とし、セルタ財団へ寄付扱い

購入者への返金以外の対応策1つ目は、「セルタ財団」への寄付扱いにするという内容です。

「セルタ財団」とは1996年に前会長オラシオ・ゴメス・アラウホ時代に設立された、セルタ・デ・ビーゴが発起人となっている財団です。

財団の存在目的は「社会公共、スポーツ活動、教育への貢献」であるとされており、セルタB未満のカテゴリーであるセルタのカンテラ組織の運営にもセルタ財団が関わっています。

今回の「寄付扱い」となる金額は、セルタ財団を通じて新型コロナウィルス対策の公的活動や病院、医療従事者への支援活動などを中心に寄付されることになります。

また、それら新型コロナウィルス対策以外の用途としてはカンテラの運営費や設備費用として使用されることになるとクラブの公式ウェブサイトでは説明されています。

返金以外の対応(2):オフィシャルショップで使用可能な仮想通貨への交換

購入者への返金以外の対応策2つ目は、公式オンラインストア「A Tenda do Celta」か、バライードス隣接あるいはビーゴ市内のオフィシャルショップで使用可能な専用公式通貨への交換です。

Home page
TiendaoficialdelRCCelta:equipaciones,ropadeportiva,accesoriosycoleccionesexclusivasRCCelta.ConsigueahoratodoslosproductosdelRCCelta,laequipaciónoficial,prendase...

例えば2019−2020シーズンのホーム用ユニフォームは79.95ユーロ(約9,900円)で販売されています。

スペインの場合、試合の観戦チケットは変動価格となっているため、セルタ自身と対戦相手の順位によってチケットの価格は変動しますが、少なくともレアル・マドリー、バルセローナ、アトレティコ・マドリーの3クラブに関しては過去20年間は最も高い金額が設定される試合です。

日程的にセルタは第32節にバルセローナ戦を。そして第35節にアトレティコ戦をバライードスに残しています。

過去の実績からすればこの2試合のチケット価格は、最も高額な席種であるトリブーナ・アルタで約10,000円程度になると予想できるでしょう。

ゴール裏席であるゴールやマルカドール、そしてバックスタンド席であるリオ・アルトやリオ・バホの場合はトリブーナのほぼ半額以下が料金として設定されるはずですから、仮に1試合ごとの金額が仮想通貨に交換されるとなると、ホーム用ユニフォームがなかなかにお得な金額で手に入るという考え方もできそうです。

ただし、金額換算でいくらが交換されるのかは現時点では明らかになっていません。

今シーズン開幕前に書いた「【セルタ】来シーズンに向けた年間チケットの詳細を発表。最安値は250ユーロ」という記事内で記した通り、最も高いトリブーナ・アルタの年間チケット代金は、成人の事前割引無しで693ユーロ(約85,000円)。ホームゲーム1試合あたりで換算すると36ユーロ(約4,400円)です。

【セルタ】来シーズンに向けた年間チケットの詳細を発表。最安値は250ユーロ
スペイン現地時間6月12日、セルタは19−20シーズンの年間チケット販売情報を公開しました。開幕前の販売は6月20日〜7月20日に実施されます。ソシオと年間チケット購入者の違いについても解説します。

このような計算に基づいて仮想通貨への交換が行われるとしても、その分でユニフォームが相当に格安で購入できることにはなりますから、ファンとしては損をした気分にはならないのではないでしょうか。

他クラブはどうか

セルタはチケット代の返金、もしくはセルタ財団を通じた新型コロナウィルス対策への寄付やカンテラ組織の運営費への転換、そしてオフィシャルショップで使える仮想通貨への交換という手段で、無観客試合となる年間チケット代の処理を発表しました。

では、他のクラブはどのような対応をしているのでしょうか。

ある意味で歓迎され、ある意味で議論を呼ぶ対応を発表したのがレガネスです。

5月26日の段階で、レガネスはクラブ公式ツイッターアカウントで、今シーズンの年間チケット購入者に対して、来シーズン分を自動更新すると発表しました。

その後、エスパニョールも類似する発表を行っているですが、内容はレガネスほど思い切ったものではなく、またアボナード(年間チケット購入者)とソシオ(クラブ株式購入・保持者)によって対応が異なるとも見られる内容が記載されていたため、エスパニョールの場合は一部ファンからやや期待外れであるとも取れる反応があったようです。

セルタの対応は「正しい」のか

レガネスの対応は素晴らしく、年間チケット購入者にとっては非常に嬉しいものでしょう。

特に長年に渡って年間チケットを更新し続けているファンにとっては、本当なら1年分の値段が浮くわけですから、歓迎しないわけがない対応です。

セルタの対応としてはレガネスとは異なり、社会への協力・貢献と、ある意味では「教育」とも考えられるカンテラへの費用転換が主な対応であり、同時にオフィシャルショップでの購買活動に使える形での一種の「返金」が発表されました。

では、このセルタの対応はレガネスと比較して「正しかった」と言えるのでしょうか?

結論から言うと、僕はむしろセルタの対応のほうが「正しい」と言えるのではないかと思っています。

なぜか?

繰り返しますがレガネスの対応は素晴らしいものです。もし僕が今現在もビーゴに住んでいてセルタの年間チケットを保有しており、来年の年間チケットを無償で自動更新する、とクラブからアナウンスがあれば当然喜ぶでしょう。間違いありません。

しかし、それはその分の現金収入をクラブが放棄する、失うことをそのまま意味します。

道徳的・倫理的な観点で「正しい」と言えるような行動であっても、果たしてこの「収入を放棄する」ような対応をクラブが取ることが本当にクラブにとってもファンにとっても正しいと言えるのでしょうか?

年間チケットの売上金額

2019−2020シーズンのセルタ・デ・ビーゴにおける年間チケット購入者は23,483人です。

6種類の年間チケットが販売されたため、平均価格は1種類あたり421ユーロ(約52,000円)となります。

乱暴な計算ですが、平均価格を購入者数にかけてみましょう。

421ユーロ×23,483人=9,886,343ユーロ

約12億2,300万円です。

実際にはここまでにはならないはずですが、概ね10億円程度の収入になっていることはほぼ間違いないでしょう。

レガネスが発表した年間チケットの次年度無償自動更新とは、この約10億円を放棄するということです。

経営に与えるダメージ

レガネスが発表した内容は確かに美しいものです。

喜ぶファンもいるはずだと思います。

しかし、セルタが同じことをすると考えているような噂があったのだとしたら僕は反対したでしょうし、今から考えることも反対です。

セルタのような規模のクラブにとって、10億円は大金です。

来シーズン完全移籍で買い取りを目指しているブラジル人MFラフィーニャ・アルカンタラの移籍金は約1,500〜1,600万ユーロ(約18億〜20億円)だと言われています。

金額だけで見れば、無償自動更新により放棄される10億円があればラフィーニャの移籍金が約半分も捻出できることになるのです。

1年間タダでバライードスに通える特典と引き換えに、ラフィーニャを失う。

こんな選択をしますか?

いいえ、僕はそんな選択はしません。

クラブにもそんな選択はさせたくありませんし、させないでしょう。

そして仮にラフィーニャの件がなかったとしても、10億円があればまだ少し残っている負債の返済にあてられます。

来シーズンの決算書に記載できる収入の項目で数字が増えますから、下手を打たなければ書類上は売上が増え支出が減り、万が一の将来的な金融機関からの融資査定が有利に進みます。

クラブに10億円を使わせてファン一人一人が来シーズンをタダで楽しむということは、将来的にクラブが財政破綻して消滅するようなことになってしまったらその責任の一端を背負うということを意味します。

ファンのことを考えた施策としての年間チケット自動更新はたしかに美しく見えますが、僕は将来的なクラブへのダメージが大きすぎると考えます。

ある意味で地に足のついたセルタの対応策

今回の施策を考えたのが誰なのかまでは報じられていませんが、少なくとも最終的にOKを出したのがカルロス・モウリーニョ会長であることは間違いないでしょう。

かつてはこのような決断の背景を自ら表に出て説明するようなことがなかったモウリーニョですが、もしかしたら次の決算報告会などで今回の施策の背景などについて語ることはあるかもしれません。

それはともかくとして、今回の施策はセルタとしてとても地に足のついた良い施策だと僕は思います。

軽々しくファンのご機嫌を取るような安直な方法に逃げなかった。

それでいてファンが何かしらのメリットを感じられる施策と、クラブの将来性と合わせて公共への貢献に対する連帯感を感じられる施策を合わせてきた。

経営者としては現在置かれた状況で、各方面に納得感を与えられる最善の選択肢のうちの一つを取った、と言えるのではないでしょうか。

僕は1人のセルタファンとして今回のクラブの対応策を高く評価しますし、支持します。

あとはとにかく、今シーズンをあらゆる意味で「無事に」終えてくれること。

これさえしてくれれば、他に文句は言いません。

再開まであと6日。

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