【セルタ】ブライス・メンデスにバイエルンが獲得の意思を示す

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ブライス・メンデスの獲得を検討しているバイエルン・ミュンヘン

デニス・スアレスとサンティ・ミナの帰還というセルタファンにとっては嬉しい復帰劇が実現した一方、スペイン最大のスポーツ紙MARCAとドイツ大手サッカー紙キッカーは、ドイツのバイエルン・ミュンヘンがセルタ・デ・ビーゴのスペイン代表MFブライス・メンデス・ポルテーラの獲得に興味を示していると報じています。

ブライス・メンデスは2010年にビジャレアルの下部組織に入団するも、2012年にはセルタへ移籍。

2017年にフアン・カルロス・ウンスエ監督によって当時登録されていたセルタBからトップチームに昇格して以降はコンスタントに出場を重ね、2018年にはスペイン代表にも選出。同年11月18日にラス・パルマスのエスタディオ・グラン・カナリアで行われたボスニア・ヘルツェゴビナ戦で交代出場からゴールも決めています。

優れたボディバランスと視野の広さで中盤をコントロールできるブライス・メンデスのプレーは、過去にセルタからベティスへ移籍したMFイトや、負傷が重なり引退が早まってしまったボルハ・オウビーニャの再来としてクラブとファンが期待を寄せる存在です。

「新たな未来」を巡る思惑

ブライス・メンデスは2017年のトップチーム昇格と同時に4年契約を締結し、その契約は2021年までとなっています。

残り2年となっているブライス・メンデスの契約ではありますが、移籍金は2000万ユーロ(約24億円)に設定されており、MARCAもキッカーもバイエルンは2500万ユーロまでならこの移籍金を支払う意思を見せていると報じています。

ウルグアイ代表FWマキシ・ゴメスを当初の設定金額5000万ユーロから大幅に値下げした上でサンティ・ミナの復帰を実現させた「身より実を取る」移籍にファンは称賛を送りましたが、ブライス・メンデスに対して正式に2000万ユーロのオファーが届いた場合、クラブがどのような対応を取るのかが注目されます。

以前の記事「【セルタ】経営改革により10年間で負債総額の大幅減額に成功。」で紹介したように、確かにセルタはこの10年間で総額82億円の累積赤字をほぼ解消してきました。

【セルタ】経営改革により10年間で負債総額の大幅減額に成功。
10年前のセルタは負債総額82億円の超絶赤字企業でした。カルロス・モウリーニョと経営陣達は、一体どのようにしてこの危機を乗り切ってきたのでしょうか。わかっている範囲で解説します。

その返済には多くのカンテラ出身選手達を売却することで得た現金が使われたわけですが、負債のほとんどが返済できた今、満を持して過去10年間で失ってしまった「あるべき未来」であったはずのデニス・スアレスとサンティ・ミナを取り戻した形になっています。

セルタはブライス・メンデスを売却するか?

では、果たしてこの段階で「新たな未来」とも言うべきブライス・メンデスを売却するという選択肢をセルタは取るのでしょうか?

僕は正直に言ってブライス・メンデス売却の可能性は五分五分なのではないかと考えます。

負債がほぼ解消できたとはいえ、セルタの経営が楽になったわけではありません。

まだバライードスの改修は両ゴール裏スタンドが残っており、今シーズンは片方のスタンドが閉鎖されることがすでに決まっています。

つまりその分の入場料収入が昨シーズンよりも減少することがすでに確定しているわけで、その分の収入源をどうするのかというのがクラブのマーケティング部門が抱える課題であると言えるでしょう。

またカルロス・モウリーニョ会長がこの13年間で断行してきた施策は、ほぼ全てが「現金」と「なにか」のトレードオフでした。

経営戦略の転換期を迎えつつあるセルタ

負債の解消が成されない限りクラブ消滅の危険が常に付きまとう中で、モウリーニョは「いれば戦力になる」はずの選手達や「力にはなってくれるが高額な給与」の選手達を売却し続けてきました。

そうしてなんとか負債金額を返済し続けた結果がようやく実を結びつつあり、未来への見通しが立ち始めたことでタイミングとクラブ一丸となった交渉によってデニス・スアレスとサンティ・ミナを取り戻した、というのが現実です。

モウリーニョ自身も「ミナの売却は断腸の思いだった」と告白している通り、一見すると血も涙もない施策を続けてきたように見えるモウリーニョですら、ビーゴ出身であるカンテラの選手達を売却することに実は苦悩を感じていたのです。

ようやく取り戻した「本来ならいるべき」だった選手を迎え、これからという段階で今後のセルタを支えてくれるであろうブライス・メンデスを売却するのか。

それとも、スポーツ面におけるこの先の未来を確かなものにするためにオファーがあっても固辞するのか。

セルタの経営陣はこの10年以上一貫して取ってきた経営戦略の見直しを迫られる状況に立たされていると言ってもいいでしょう。

代理人、本人、そしてセルタ経営陣の思惑とは

また一方ではブライス・メンデスの代理人であるフアン・サンチェスとホセ・マヌエル・タラガがブライス・メンデスのキャリアを考えた上でどのような意見を持つのかも注目されます。

デニス・スアレスとサンティ・ミナはそれぞれバルサとバレンシアという国内でも有数のクラブに移籍することで経験を積み、選手としての価値を高めることができたのは間違いのない事実です。

バイエルンはドイツのみならずヨーロッパ、そして世界でも有数のクラブであり、そこで得られる経験はセルタでプレーを続けること以上の価値が「サッカー選手」としてはあるでしょう。

ブライス・メンデス本人はMARCAの取材に対し「オファーがあったかどうか何も知りませんし、僕はセルタで満足しています」というお決まりのコメントを残しているのみ。

こういったコメントが出る時というのは少なくとも代理人から話は来ていて、今相談している最中ですという意味であることが多いので彼のコメントを鵜呑みにすることはできませんが、いずれにしても判断はセルタ側に大きく委ねられていると言ってもいいでしょう。

MARCAはセルタの動きとして、「契約の延長と移籍金の増額」を含めた話し合いをブライス・メンデスの代理人と行う意思を持っていると報じています。

現在22歳のブライス・メンデスであれば残り2年の契約にプラスして2年。移籍金を3500万ユーロ〜5000万ユーロに増額した上で、例えば2022年までに規定の試合数に達した場合は自動延長もしくはさらなる移籍金の増額といった内容の契約を締結することも視野にいれることができるはずです。

今後も継続してスペイン代表に選出され、来るべき「ブスケッツ後の世界」で存在感を示すことができれば、24歳もしくは25歳という脂の乗った年齢でステップアップを図ることも夢ではありません。

イトを失い、オウビーニャを育て切れなかった過去とセルタがどう向き合うのか。

本当にオファーが来ているとすれば、ブライス・メンデス本人のキャリアプランを本人がどう考えるのか。

望まれた2人のカンテラーノが戻ってきたその影で、セルタで育ってきたカンテラーノは何を思うのでしょうか。

カルロス・モウリーニョと経営陣、そしてブライス・メンデスの密かな悩みはどうやらもう少し続きそうな気配が漂っています。

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