【セルタ】レアル・マドリーからのオファーを断っていたイアゴ・アスパス

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イアゴ・アスパス獲得を検討していたレアル・マドリー

ラ・リーガ・サンタンデール2019−2020シーズン第24節でホーム、サンティアゴ・ベルナベウにセルタ・デ・ビーゴを迎えるレアル・マドリー。

スペインの大手スポーツ紙ASは、そのレアル・マドリーが過去にセルタのスペイン人FWイアゴ・アスパスに対して獲得の打診をしていたことと伝えています。

レアル・マドリーには2009年から2018年までの間、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドが在籍しており、約10年間に渡ってレアル・マドリーの前線に君臨し数々のタイトルをもたらしてきました。

2018−2019シーズンの開幕前にクリスティアーノ・ロナウドはイタリアのユヴェントスへ移籍。

圧倒的な存在感を示していたクリスティアーノ・ロナウドに代わるFWの柱を誰にすべきか、という議論はクラブ内部でもファンの間でも沸き起こっていました。

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スペイン現地時間2月14日に掲載されたASの記事によれば、レアル・マドリーはクリスティアーノ・ロナウドが抜けたFWの一角にイアゴ・アスパスを迎えることを画策していたようです。

イアゴ・アスパス本人もレアル・マドリーからの打診を認める

ASの記事によればアスパス本人も代理人を経由してレアル・マドリーからの移籍打診があったことを認めているようですが、現状を見てもわかるようにアスパスはこの打診を拒否し、現在でもセルタでプレーを続けています。

ただし、アスパスの代理人は数回の条件交渉をレアル・マドリーと行ったことも事実だったとASは記事内で伝えており、レアル・マドリー側の獲得意思はそこそこ本気のものだったことも想像できます。

2018年時点でアスパスはスペイン代表に継続的に招集され、2018年ロシア・ワールドカップではスペイン代表としてゴールも記録。スペイン人選手最多得点賞である「サラ賞」も連続受賞するなど、当時のスペイン人FWとしては抜群の得点力を誇っていました。

アスパスの選手としてのレベルがクリスティアーノ・ロナウドと同レベルかどうかはさておき、ポストプレーもこなせて足元の技術も確か。なおかつ味方を活かすパスやドリブルの技術も持っているという点では、いくつかの点でクリスティアーノ・ロナウドと類似するプレースタイルをアスパスが持っていることは事実です。

レアル・マドリーがアスパス獲得を検討した背景とは?

2018−2019シーズン開幕時点ではレアル・マドリーの監督は直前までスペイン代表監督を努めていたユレン・ロペテギであり、なおかつロペテギはアスパスをスペイン代表に継続招集していた当人でした。

セルタファンとしては「数回呼ばれて親善試合やワールドカップ予選で数分出て終わりだろう」程度にしか考えていなかったのですが、セルタファンの予想以上にロペテギはアスパスを意外なほど起用。

いくつかの印象的なゴールもスペイン代表で決め、最終的に2018年ロシア・ワールドカップの最終登録メンバーにも選ばれます。

このことから、ロペテギはセルタファンの想像よりもアスパスを高く評価していたことが考えられるので、契約のタイミングに関するゴタゴタがあったとはいえ、ロペテギがアスパスを自分の手元に置きたいと思ったことには確かに納得がいきます。

アスパス側の視点で考えてみても2018−2019シーズン開幕直前はエドゥアルド・ベリッソの退任後、フアン・カルロス・ウンスエの指揮で再出発を図ったセルタがさほどの成績を残せておらず、ちょうどフラストレーションも溜まっていた時期だったことは想像できます。

そんな中でスペイン代表として自分を評価・重用していたロペテギが就任したレアル・マドリーからの打診があったとすれば、検討しないという選択肢はなかったでしょう。

僕は個人的に上記の事柄がレアル・マドリーによるアスパス獲得の検討における背景だったのはないかと予想します。

結果的には吉と出たセルタ残留

最終的にはアスパスのレアル・マドリー移籍は実現せず、そのままセルタに残留することになったアスパス。

とはいえ、セルタはそれ以降2019−2020シーズンも含めて残留争いに巻き込まれる苦しい展開を続けています。

果たしてこのことがアスパスにとって良かったのか悪かったのかは判断の分かれるところではあるのですが、長い目で見ればこれは代理人も含めたアスパス陣営が「間違ってはいなかった」と僕は考えています。

レアル・マドリーのような超ビッグクラブに所属してプレーすることは選手として目指すべき高みの一つであることは事実でしょう。

しかしプレーできないとなればサッカー選手として不満が募ることになりますし、2018年当時で既に30歳を迎えていたアスパスとして考えなければならないのは「あと何年プレーできるか」ということだったはずです。

完全移籍で新しいクラブに加入すれば当然のことながら新しい違約金や新しい契約解除条項が設定され、「気に入らなかったら出ていけばいい」となっても簡単に自分の希望するクラブに移籍できるとは限りません。

そもそもセルタにはレアル・マドリーから選手を買い戻せるほど潤沢な資金があるわけでもありませんし、一度出ていった選手をセルタのような中小以下のクラブが買い戻すという作業がどれほど大変なことなのかはデニス・スアレスやサンティ・ミナの移籍を見れば明らかです。

もしアスパス側がこのような考えでセルタ残留を決めたのだとしたら、非常によい安全な選択だったと僕は思います。

その後の残留争いを通じてアスパスは自身がセルタにとってどれほど貢献でき、それによってファンからの多大な愛情を直接受けることが「これまで以上に」できるようになりましたし、2018−2019シーズンの残留に対する大きな貢献もきっかけとなり2022年までの契約延長を好条件で勝ち取りました。

ビーゴ湾を挟んだ隣町であるモアーニャ出身のアスパスは、かねてから「モアーニャとビーゴで自分は幸せに過ごしている」と公言しており、「理想的にはセルタで引退したい」と常々発言していました。

実兄であり自身のアイドルでもあったジョナタン・アスパスも引退後はセルタのスタッフとして勤務していることから、セルタファンの多くは「アスパス兄弟」によるクラブ運営を見たいとぼんやりと考えています。

また、レアル・マドリーの監督に就任したロペテギはあっという間に成績不振で解任されており、もし本当にレアル・マドリーに移籍することになっていたとしてもアスパスが出場機会をコンスタントに得られていたかどうかは定かではありません。

ロペテギ解任の事実そのものは結果論でしかないわけですが、もしロペテギのレアル・マドリー監督就任に関わる経緯も含めてアスパス側がセルタ残留を決めていたのだとしたら、僕達セルタファンが考える以上にアスパスもアスパスの代理人も冷静な考えができるタイプだと思えます。

そして、これも想像の域は出ませんが、もしセルタの誰かがロペテギに関わる様々な可能性をアスパス側に伝えて残留を促していたのだとしたら、セルタのスタッフもなかなかに冷静で交渉上手だとも言えるでしょう。

いずれにしても何がセルタ残留の直接的な決定打であったのかはASの記事では触れられていませんが、少なくともアスパスがセルタに残留したことはセルタ・デ・ビーゴというクラブにとっても、セルタファンにとっても、そしてアスパス本人にとっても「今のところは」吉と出ていると判断できるだろうと僕は考えているのです。

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