キケ・セティエン監督が正式に退任を発表
ラ・リーガ最終第38節。レアル・ベティス・バロンピエはアウェーのサンティアゴ・ベルナベウでレアル・マドリーに2−0で勝利を収め、10位で2018−2019シーズンを締めくくりました。
同時に試合後の記者会見でキケ・セティエン監督とクラブは来シーズンのベティスをキケ・セティエンが指揮しないことを正式に発表。
非公式には既に何人かの後任候補の名前はあがっており、このシーズンオフでベティスは新監督探しと補強選手の移籍を同時並行で進めることになります。
キケ・セエティン退任により乾貴士の去就に影響?
2018年ロシア・ワールドカップ後に日本代表MF乾貴士はベティスに移籍し、シーズン当初は好プレーを披露し一時期はこのままレギュラーに定着するかと思われていました。
しかしチャンスは作り出すもののなかなかゴールを奪えず徐々に出番が減少。最終的には冬の移籍市場でアラベスにレンタル移籍。アラベスではアベラルド監督の元でレギュラーに定着しゴールも上げるなど再度スペイン国内での評価を高めることに成功しています。
そのアベラルドはシーズン中からキケ・セティエンが退任する場合はベティスの監督に就任するのではないかと噂されており、ちょうど乾がアベラルドのもとで息を吹き返したこともあり、乾もアベラルドとともにベティスへ復帰すればベティスでの再チャレンジが可能ではないかと見られていました。
アベラルドとキケ・セティエンの去就とは関係なくアラベスが完全移籍で乾を買い取る可能性もありますが、ヨーロッパリーグ出場を逃していることもりその可能性は五分五分といったところでしょう。
個人的には乾のプレースタイルはアンダルシア人、特に「ベティコ」と呼ばれるベティスファンには気に入られる種類のものだと思っているので、クラブの歴史や実績的にはかつて所属したエイバルやアラベスよりも一段階上のレベルにあるベティスで成功して欲しいと思っているのですが。
2019年の不運
キケ・セティエンにとって不運だったのは、ヨーロッパリーグ決勝トーナメントでフランスのレンヌに敗退したこと。そして連続してコパ・デル・レイ準決勝でバレンシアに敗退してしまったことでしょう。
キケ・セティエンが就任した2017−2018シーズンを6位で終え、久々に欧州カップ戦へ舞い戻ったことでベティコ達は「輝ける時代の再来」を夢見たはずでしたが、結果はあっけなく敗退。コパ・デル・レイでも2004−2005シーズン以来の優勝が狙えると思っていた矢先に準決勝で敗退。
「ビバ、ベティス。たとえ敗れようとも」
とは、ベティコ達の合言葉のように叫ばれていたフレーズですが、長らく不遇の時代を過ごしてきた彼らは結果を渇望する気持ちの落とし所を失ってしまったが故に、キケ・セティエンへの批判が強まってしまったように見えます。
日本では「情熱の国」と言われることが多いスペインですが、実はこういったステレオタイプのスペイン人は多くはなく、性格や感情の表現方法にはかなりの地域差があります。しかしスペイン南部のアンダルシア、特にセビージャの人々は比較的ステレオタイプ的な感情表現をする人が多く、いわゆる「熱しやすい」性格であると言われています。
そのような性格の人々にとっては「6位」というこれから更に上を目指せる順位で終えた昨シーズンの熱狂にもかかわらず、ヨーロッパリーグとコパ・デル・レイでの敗退という「冷水」を浴びせられたことによって一気に冷めてしまい、その怒りの矛先がキケ・セティエンに向かってしまったのでしょう。
スペイン最大のスポーツ紙MARCAが行ったアンケートによると、MARCAの読者のうち74%が「キケ・セティエンが監督を続けるべき」だと答えており、周囲の評価がファンやクラブ側の判断とは反対であることがわかります。
シーズン序盤に見せていた縦に早く、しかも厚みをもたせた攻撃を展開するサッカーの質は悪いものではありませんでした。順調にチームが仕上がりさえすれば2月以降のラ・リーガの展開も違ったものになっていただろうと思うのですが、今となっては「たられば」の話でしかないのかもしれません。
竹を割ったような性格で選手との対話もよく行うキケ・セティエン。おそらくすぐにまた次のクラブで指揮を取るだろうと予想されています。
個人的には北部のクラブが合っているだろうとは思うのですが、果たしてどうなるでしょうか。
セルタ・デ・ビーゴのように監督選びで迷走しているクラブなどには適任の監督だと思っているのですが・・・。